飲食業で注意したい法務のポイントについて弁護士が解説!

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【ご相談内容】

当社は事業多角化の一環として、新たに飲食事業に参入することになりました。ただ、新規参入となるため、飲食店事業の経験やノウハウを持ち合わせておらず、どういった事項に気を付ければよいのか全く分からない状態です。

飲食店事業を開始するに当たり、気を付けるべき法律問題について教えてください。

 

 

【回答】

飲食業は新規参入者数も多い一方で、2~3年程度で廃業する事業者数も多く、とにかく出入の激しい業態となります。したがって、飲食事業を開始するに際しては、万一のこと(事業撤退)をも想定した上で、あらかじめ検討しておきたい法務課題がいくつか存在します。

また、飲食事業を運営していくと、どうしても利用客とのトラブルを経験することになります。特に最近では、利用客からの無理難題の要求事項に対して毅然と断るだけでよいのか、毅然とした対応がかえって反感をかってしまい、ネット上で悪評を立てられないかといった点まで気にする必要があり、悩みの種が尽きません。

さらに飲食業は、労働環境が厳しいことによる人材不足の深刻化、これによる労働環境の更なる悪化という悪循環が発生しており、労働問題が発生しやすく、かつ一度発生すると一気に拡大化してしまうという一種の爆弾を抱えている状況です。

他にも留意するべき法律問題はありますが、複数の飲食事業者の顧問弁護士を務める執筆者において、特に確認してほしいと考える事項につき、以下解説します。

 

 

【解説】

 

1.概説

飲食業における人の問題に関しては、労働基準法等の労働法規制を免れるための方策に関係した法律問題が多いように感じます。また、最近はカスハラ対策についても事業者が意識して取り組まなければならない法務課題となっています。

物の問題に関しては、実店舗で営業するという飲食事業の性質上、不動産に関する事項や物の仕入に関する事項が従来より法務課題として意識されています。また、最近では受動喫煙対策や客引き行為規制への対応を求められるようになっています。

お金の問題に関しては、従前のような店舗内での即時現金決済が難しくなるなかで資金繰り・キャッシュフローに関する法律問題を意識する必要性が生じています。特に最近では、予約の無断キャンセルによる損失補償をどうするのかといった、従来とは異なる問題への対応が必要になっています。

情報の問題に関しては、暖簾看板に関する信用情報をどうやって守るのかという従来からある法律問題への対応も必要ですが、近時は口コミサイトによる風評被害や顧客情報の販促利用に関する法律問題を意識する必要があります。

以下、人に関する問題、物に関する問題、お金に関する問題、情報に関する問題に分けたうえで詳細を解説します。

 

 

2.人に関する問題

 

(1)名ばかり管理職(店長)

多店舗展開している場合やオーナーが現場に入らない場合、店舗の管理運営を店長に任せっきりにすることは多くの飲食店で行われています。当然のことながら、店長を選任し、店長に店舗運営の裁量権を付与すること自体は特段問題となりません。

問題となるのは、店長を管理職として取扱った上で、残業代を一切支払わないというという対応をとることです。たしかに、労働基準法第41条第2号ではいわゆる管理監督者に該当する場合は、残業代を支払う必要はない(但し深夜割増分は支払う必要あり)ことが定められています。しかし、日常用語でいう管理職と労働基準法が定める管理監督者は、大きく意味が異なります。あえて例えるのであれば、管理職の中でもごく一部の者しか管理監督者に該当せず、飲食店でいう店長、事業会社でいう部長や課長といった役職付きの従業員の多くは管理監督者に該当しないと考えられています(なお、該否に関する考え方については、例えば次の厚生労働省の資料などをご参照ください。

店長を管理監督者に該当する者として処遇するのか、それとも(法律上は)一般の労働者と同じように処遇するのかは色々と考え方はあるかと思います。ただ、執筆者個人としては、リスクヘッジの観点から管理監督者に無理に当てはめようとせず、労働時間や責任の重さ等については手当等でカバーする(例えば、店長手当については一定の固定残業代として支払うなど)という方法が対処しやすいのではないかと考えるところです。いずれにせよ、単純に店長だから残業代を支払わなくてもよいという取扱いを行うことは危険です。店舗の運営実態に応じてどのような法的対策を講じればよいのかについては、弁護士にご相談ください。

 

管理監督者の範囲の適正化(厚生労働省)

 

(2)業務委託社員

飲食店事業者の中には、店長について、労働者ではなく業務委託契約に基づく個人事業主として契約し、店舗運営業務を委託するという方法をとるところがあります。たしかに、いわゆる暖簾分け(社員独立制度など)を実施し、対外的な店舗名(看板)は同一としながらも、店舗の運営については全て独立した社員に任せる(但し、店舗名が同一であること、すなわちチェーンとしての統一性・信用維持の観点からの経営指導は行う)というのであれば、労働者ではなく個人事業主扱いとする合理性もあると考えられます。

しかし、労働基準法等の労働法の規制を免れる目的で、あえて業務委託契約に基づく個人事業主とするのであれば、脱法行為と言わざるを得ません。このような脱法行為と言わざるを得ない店舗運営を行っていた飲食店事業者が、近年労働基準監督署から強く是正を求められると共に、社会的非難を浴びたことは記憶に新しいところです。

この種の問題は、結局のところ、店舗運営を任される者がどこまで自主独立性を有するのかによって決まります。例えば、店舗資産は誰が所有するのか、収支管理や損益は誰に帰属するのか、店舗スタッフの人事権はあるのか等が考慮要素となります。店舗を管理する者(店長)について、労働者として処遇するのか、個人事業主(業務委託社員)として処遇するのかは、脱法行為と言われないようにするためにも特に慎重に対処する必要があります。労務分野とチェーンビジネスに精通する弁護士に相談しながら、法的にも現場実情にも合致した方策を講じるべきです。

なお、労働者と個人事業主の異同については、次の記事もご参照ください。

 

フリーランスとの取引を開始する場合の注意点について、弁護士が解説!

 

(3)外国人労働者

飲食店での業務従事は重労働と認識されているためか、スタッフ(店舗業務従事者)を確保することが難しくなってきていると言われています。このため、最近では外国人がスタッフとして業務従事する姿も珍しいとはいえない状況となってきています。

飲食店事業者も人手不足への対応として、外国人を気軽に雇入れる傾向があるようです。もっとも、どうしても文化の違いや言語コミュニケーション不足に起因する店舗スタッフとの軋轢、接客対応での利用者とのトラブルも残念ながら目立ちます。

また、在留資格等の問題を認識していない又は勘違いしていることで、入管法違反(不法就労助長罪など)を指摘される事例が非常に増加しています。特に、留学生については、単純労働を前提にしたアルバイトスタッフとして採用することが多いことから、資格外活動許可の問題(なお、留学生は原則就労不可です)、1週当たりの就労時間が28時間に制限される問題は、繰り返し違反事例として指摘されているところです。

さらに近時は、外国人労働者に対する酷い処遇や就労環境に関する話も表沙汰になってきています。このような話が公となった場合、もちろん法的制裁も出てきますが、社会的非難(いわゆる炎上)や不買運動等の社会的制裁・責任追及が厳しく行われる傾向があります。評判や信用を重視する飲食事業の場合、特に同一看板でチェーン展開している場合は、店舗運営の存続危機にさえ至ることも有りうるところです。

外国人労働者の採用はもちろんのこと、労務管理については従来の考え方とは発想を異にしなければならない事項が多々あります。弁護士と常日頃から相談して法律違反にならないよう予防しつつ、問題があれば直ぐに対処できる体制を整えることが望ましいと考えられます。

 

(4)シフト制

飲食店の場合、シフトを組んでスタッフに提示し、店舗業務に従事してもらうことが一般的です。ただ、このシフト制については、あまりにも当然にように行われているためか、法律上のルールが見落とされていることが多々あります。

まず、シフト制を採用するのであれば、就業規則の整備が必要となります(労働基準法第89条第1号)。残念ながら、就業規則にシフト制の根拠となる条項自体が存在しないということも結構な頻度で見かけたりします。

次に、必ずしも連動しないのですが、飲食店事業者におけるシフト制の運用状況を踏まえる限り、変形労働時間制(労働基準法第32条の2以下)を採用する必要があると考えられます。しかし、変形労働時間制を採用するための法的手続きが全く実践されていないという事例も少なくありません。

さらに、シフト制(変形労働時間制も併用)を用いた場合、勤怠管理や賃金計算を一律で把握することが困難となり、労務管理が非常に複雑になる傾向があるところ、労務管理が適切に行われていない飲食事業者がかなり多いという点も指摘できます。

執筆者個人の見解とはなりますが、飲食店でシフト制を採用している場合、細かなところも含めると労働法違反の問題が多数発生せざるを得ない状況です。そして、労使紛争が生じた場合(特に労働基準監督署の査察が入った場合や労働組合が介入してきた場合)、飲食店事業者はとにかく防戦一方となりがちであり、満足のいく紛争解決には至らないことが大多数というのが実情です。シフト制を採用すること自体は問題ないのですが、採用するのであればルールを守ること、運用面でどういった事項に注意するべきなのかを含め、弁護士と相談しながら早急に見直しを図るべきです。

 

(5)カスハラ対策

いわゆるカスタマーハラスメントが近時問題視されています(クレーマー客と同義で用いられることも有りますが、やや対象範囲を異にするように思います)。特に飲食店の場合、店舗スタッフは非常に弱い立場であり、一方的に利用者より侮辱されたり、罵声を浴びたり、謝罪を強要されたり等で相当なストレスを受けることになりがちです。

こういった店舗スタッフを含む従業員に対する精神的負荷が看過できない状況となってきていることから、厚生労働省は事業者に対して、ハラスメント対策の一環としてカスハラ対応も行うよう指導する方針を打ち出しています。

従来のように、お客様は神様です…という考え方で、とにかく店舗スタッフが我慢すればよいとするやり方は通用しません。むしろ、店舗スタッフが飲食店事業者に対して、何らの対策を講じなかったとして訴えてくるリスクさえあります。また、ただでさえ店舗スタッフの人材不足という状況下においては、理不尽な利用客からのクレームに対しては、むしろ飲食店事業者が店舗スタッフを守り、働きやすい環境を構築する必要があります。

カスハラ対応は一筋縄ではいきませんし、また、現場スタッフにすべてを任せるわけにもいきません。このような問題は初動が肝心です。常日頃から弁護士に即時に相談できる体制を構築し、事が生じた場合には随時適切なアドバイスをもらえるようにすることがポイントです。なお、クレーム対策における初期対応については、次の記事もご参照ください。

 

クレームを受けた場合の初期対応のポイントを弁護士が解説!

 

 

3.物に関する問題

 

(1)店舗の賃貸借等

多くの飲食店の場合、店舗物件を賃借し、当該店舗内で飲食の提供を行っています(新型コロナ下では、厨房施設だけを保有し、料理の提供はすべて宅配で行うという形式の飲食業態もありますが、検討対象外とします)。

さて、店舗物件を賃借するに際し、賃貸借契約を締結することになりますが、契約書の内容を十分に確認しないまま署名押印することで、将来的にトラブルになることがあります。例えば、物件使用目的について、通常は飲食業態と概括的に書くことが多いのですが、偶に××業と特定の飲食業態を具体的に明記していることがあります。もちろん、契約書に記載されている特定の飲食業態で営業継続する限りは問題ありません。問題となるのは、流行り廃りの関係で業態転換を行う場合やメニューの見直し等でマイナーチェンジを行う場合です。この××業から外れる業態となった場合、明らかな賃貸借契約違反となりますので、場合によっては賃貸人より契約解除も言われかねない重大問題となります。特に焼肉や焼き鳥といった煙や臭いが発生する業態変更は、排煙設備の問題や近隣への配慮もあり賃貸人が基本的に嫌がります。物件使用目的違反の問題は、飲食店事業者が思っている以上に根が深い問題となってしまうことを意識する必要があります。

次に、賃貸借契約の期間についても要注意事項となります。店舗営業が上手くいかず撤退を余儀なくされた場合に備えての中途解約条項があるのかという検討事項もあれば、一方で店舗営業が好調であり引き続き物件使用を継続したいが、定期建物賃貸借であるため更新不可(新たな店舗を発掘する必要がある)といった確認事項もあります。出口戦略(中途解約)と持続戦略(契約更新)についても意識する必要があります。

代表的な事例を2つ取り上げましたが、その他にも飲食店事業者が賃借人となる場合、落とし穴となる賃貸借契約内容は様々存在します(賃料の計算方法・支払い条件、内外装の指定・拘束、原状回復義務の範囲など)。物件(立地)選択は飲食店にとっては基本中の基本であり、賃貸借契約はその基本を支えるものです。たかが賃貸借契約と侮ることなく、事業戦略に支障が出ないものとなっていないか弁護士に確認してもらい、支障があるのであればどのように交渉すればよいのか等も含め弁護士にアドバイスをもらうべきです。

 

(2)受動喫煙対策など

受動喫煙問題は古くて新しい問題といえますが、最近は喫煙者が少数派となりつつあるため、飲食店内での喫煙それ自体を禁止しようとするのが世の中の流れと言えます。そのような状況下で、改正健康増進法が2020年4月1日より施行されました。2020年4月1日は新型コロナでパニックになっている状況でしたので、改正健康増進法が施行されたことについて飲食店事業者でも知らない方もいるかもしれませんが、原則的には飲食店内での喫煙は不可となっていることは押さえておく必要があります。

なお、執筆時点(2021年7月)では、既存の飲食店への配慮等もあり、例外措置が設けられていますが、近い将来このような例外措置は消滅すると予想されます。禁煙であることを前提に、喫煙顧客を取り込むべきなのかを含めて事業方針を見直す時期に来ていると考えたほうが良いかもしれません。改正健康増進法による受動喫煙対応は、法律の専門知識が必要となりますので、弁護士と相談しながら対策を講じたほうが無難です。なお、改正健康増進法の施行による飲食店への影響については、次の厚生労働省のサイトもご参照ください

 

なくそう! 望まない受動喫煙(厚生労働省)

 

(3)客引き行為

夕方以降が主たる営業時間となる飲食店に多い傾向があるのですが、営業活動の一つとして、公道での客引き行為に注意が必要です。たしかに、店内に利用者を招かないことには商売になりませんので、客引き行為等の営業活動を行いたい気持ちは理解ができるところはあります。しかし、繁華街を対象地域とした客引き行為禁止条例を制定している市町村がほとんどです。したがって、客引き校については簡単に取り締まられてしまうという実情があります。そして、最近では、取締対象となった飲食店事業者の名称や店名を公表する市町村も多く、一種の風評被害による顧客離れもありうるかもしれません。

各市町村によって微妙に条例内容が異なりますが、どういった客引き行為が取締り対象となるのか、公道での宣伝や営業活動を合法的に行う方法などは、法律の知識を駆使して検証する必要があります。法律の専門家である弁護士に相談し、憂いなく広告宣伝活動ができるように事前に対策しておくことが重要です。

 

(4)仕入れ契約(売買契約)

飲食店の場合、提供する飲食物の原料である食材の仕入ルート確保が極めて重要となります。食材の仕入れ契約は法律上売買契約となるところ、売買契約それ自体は複雑な内容とはなりにくいので、あまり詳しく検討を行わないまま署名押印する飲食店事業者も多いようです。

しかし、売主側が提示する売買契約書の場合、どうしても買主である飲食店事業者にとっては不利な内容となりがちです。例えば、代金支払いが引渡し前に行われる前払い決済や、一定額の保証金積立てが必要となるもの、契約不適合責任(旧民法での瑕疵担保責任)の追及期間につき短期に設定されている、製造物責任の適用要件に絞りがかけられている等については、よく見かける内容です。また、売主が圧倒的に有利な立場にある場合は、1ヶ月当たり一定量以上の発注義務が課せられていたり、売主が負担する損害賠償の範囲が限定されていたり、上限額が定められているといったことも、少なからず見かけたりする内容です。さらに、売主が農業従事者の場合に多いのですが、作付分の全量買取義務が定められていたり、不作(目的物が供給されない)場合であっても一定の代金支払い義務が定められていることがあったりします。

上記は食材を念頭に置いた継続的な売買契約に関する注意事項ですが、その他にも大型冷蔵庫や厨房設備等の単発の売買契約もあり、検討するべきポイントが異なったりすることがあります(大型冷蔵庫等の場合は売買後の保守内容の方が重要である等)。また、新品だけではなく、例えば居抜き店舗における中古品の売買契約の場合であれば、さらに別の視点での検討が必要となります(現状有姿売買におけるリスク負担等)。なお、売買と似て異なるリース契約の取扱いについても、注意が必要です。

売買契約については非常に奥が深く、リスク負担の在り方や転嫁の方法など様々な検討事項が付随して生じてきます。飲食店事業者自らの検討はもちろん必要ですが、気が付かなったリスクの発見とその対処法について、是非弁護士に相談し解決を図りたいところです。

 

(5)多店舗展開

飲食店事業が軌道に乗り出すと、2号店、3号店と複数店舗を出店することを考える飲食店事業者が多いようです。飲食店事業者が2号店、3号店の人員を集め、自己資本で出店を行う場合、この記事で書いているような注意事項以外に、社内における管理体制の問題を別途考える必要があります。

一方、他人資本で多店舗展開に乗り出す場合、例えば知人等に“看板”だけを貸出し、看板貸出先の店舗運営については原則的に知人等に任せるといったパターンがあります。また、フランチャイズ本部としてチェーン展開を行うというパターンもあります。さらに、店舗や設備等は他人が準備し、損益も他人に帰属することを前提にした上で、一定の委託料をもらいながら店舗運営業務を受託することで店舗展開を図るというパターンもあります。

飲食店事業者にとって、多店舗展開は一種の成功の証であり、目標にしている事業者も多いようです。しかし、そのような飲食店事業者の夢に付け込んでくる輩がいるのも事実であり、執筆者の属性上、多店舗展開に関するトラブル相談は後を絶ちません。多店舗展開を行うということは、飲食店事業者の目の届かないところで店舗運営が行われることを意味します。したがって、監視の目が行き届かないことによるトラブルが予想以上に発生しがちです。多店舗展開特有のトラブル事例やその対処法はもちろん、トラブル予防のための契約書の作成や管理体制の構築法などについては、弁護士と相談しながら対処することがお勧めです。

なお、フランチャイズ本部として多店舗展開を検討するに際し、注意しておきたい事項を別記事で整理していますので、ご参照ください。

 

フランチャイズ本部として事業展開する場合の注意ポイントを弁護士が解説!

 

 

4.お金に関する問題

 

(1)未収代金

飲食店の場合、通常は一般個人を顧客とすることが多く、昼食であれば1,000円前後、夜間の酒食であっても1人当たり数千円程度となります。ただ、現場での現金決済やカード決済が多く、顧客が来店する限りは料金未回収が生じにくいところがあります。

一方、近時において飲食店事業者を悩ましているのは、予約のキャンセル(無断キャンセル、直前のキャンセル等)です。少額であるが故に回収に要する費用と効率を考えると、どうしても泣き寝入りというパターンが多くなってしまうようです。また、電話の場合であれば、電話番号が特定できる限りまだ調査のしようがありますが、インターネットを通じての予約の場合、連絡先アドレスだけでは予約者の特定ができない場合も多く(特に捨てアドのような場合)、回収手続きを取りたくても誰から回収すればよいか分からないということもあるようです。

予約キャンセル問題については、起こってしまってからでは対処することが難しいというのが正直なところです。予約を受けた段階での対策が非常に重要となります。事前対策については色々とコツがありますし、また個人情報保護法などの法律面でのケアも必要となります。弁護士と相談しながら事前対策スキームを構築すると共に、万一キャンセル問題が発生した場合には、どこまで回収手続きを進めるのか弁護士より適宜アドバイスをもらいながら対処していくことがポイントとなります。

 

(2)入金のタイミング(キャッシュサイト)

飲食店の場合、来店時に現金決済が多く、入金タイミングは他の業態と比べて短期と言われています。しかし、最近ではカード決済や電子マネーなどの非現金決済が多くなりつつあり、いつの時点で入金されるのかを重視しなければならない時代となってきています。特に飲食店の場合、食材など日持ちしない仕入れ品が多く、仕入れ業者との契約にもよりますが、現金を支出する頻度がかなり多いという特徴があります。したがって、これからの飲食店事業者は、キャッシュフローについて相当意識しながら店舗経営を行う必要があります。

また、開店場所がデパートやモール等の商業施設の場合、売上金はいったん施設運営者が全額徴収し、後日テナント料等を控除した残額を入金するという契約になっているところもあります。この場合、一般的には実際の売上と入金が1ヶ月程度ズレることになりますので、飲食店事業者としては、1ヶ月分以上の店舗運営に要する手持ち現金を保有しておく必要があります。

さらに、商店街やスーパー内等で営業する場合、商店街やスーパー等が発行した独自の商品券による決済を契約上行わなければならない場合があります。この場合、売上と入金まで2ヶ月程度の期間が必要となることも多いようです。また、何らかの手数料等が控除されて入金されることもあります。出店場所による独自ルールが設けられていることが多いので注意が必要です。

商業施設に出店する場合での入金タイミングについては、出店契約書というタイトルが付いた契約書に明記されている場合もあれば、賃貸借契約書の中にしれっと(?)と定められていることもあります。入金のタイミングを含めたキャッシュフローについては、飲食店事業者において意外と見落としがちの内容となるようです。契約書に何が書いているのか、その書いてある内容がビジネスにどういった影響を与えるのかについても弁護士はアドバイスを行いますので、是非相談してほしい事項です。

 

(3)賃料増額要請への対応

物価の変動に応じて不動産の評価額も変動し、その結果固定資産税等の税金も変動しますので、賃料額の増減が将来的に生じることは当然あり得る事象です。もっとも、賃借人からの賃料減額要請は、経営状況の悪化等のやむにやまれぬ事由が生じた場合に行われるものであるに対し、賃貸人からの賃料増額要請は、もちろん経済情勢の変動という理由のものもありますが、契約更新のついでに要求するといった合理的理由を見出しにくいものまで様々なパターンがあります。

賃貸人より賃料増額要請された場合、賃借人である飲食店事業者の対応としては、納得がいく場合はさておき、直ぐに受け入れるor受け入れない等の回答を行うべきではありません。いったんは「専門家と相談し、後日回答する」という留保を行った方が無難です。その上で、賃料増額が果たして適切なのか、仮に賃料の適正額についてトラブルが生じた場合どうすればよいのか等について弁護士に相談し、対応方針を決めるべきです。特に弁護士が交渉窓口となった場合、賃貸人も合理的根拠が乏しいと判断した場合は賃料増額要請を撤回してきたりすることも有ります。うまく弁護士を利用することがポイントです。

 

(4)クレーム対応と見舞金

飲食店を運営していく場合、誤って注文とは異なる料理を提供してしまったという利用客に直接的な被害を及ぼさないトラブルを起こしてしまうこともあれば、提供した料理を原因として利用客に食中毒を生じさせてしまうといった生命身体に被害を及ぼす重大インシデントまで、様々な事項を経験することになります。

もちろん食中毒のような重大インシデントの場合は、保健所などを通じて原因が判明しますので、飲食店事業者に責任がある場合は、謝罪はもちろんのこと、法律に則り必要な損害賠償を行う必要があります(店舗賠償責任保険等に加入している場合、損害賠償金については保険金で賄われることが多いと思われます)。

一方、飲食店事業者にとってやや厄介なのは、利用客が主張する内容が果たして飲食店事業者の責任といえるのかという点です。例えば、提供された食事に石が入っていたことが原因で歯が欠けたと後日主張してくる事例や、本人以外からは一切被害申告がないにもかかわらず、提供された料理で気分が悪くなったと主張してくる事例などです。

法律上の理屈だけでは、飲食店事業者に責任があるとは言えない以上、損害賠償責任を含め何らの責任を負う必要はないという結論になってしまいます。しかし、理屈だけでトラブル解決が図れるかというと、必ずしもそうとは言えません。そこで、法律上の責任を認めるわけではないが、トラブルを終息させるために一定の金銭を支払うといったことは、現場実務ではよく行われる対処法です。この場合に飲食店事業者にとって悩ましいのが、解決するための金銭提示をいくらにするのかという点です。執筆者もこの種の相談を受けることが多いのですが、正直なところ相場はありません。ただ、事案内容に応じて一定の枠があるようには思います。複数の相談を通じて得られる経験則にすぎませんが、このような表には出てこない対応ノウハウは、やはり弁護士に直接話を聞かないと飲食店事業者も知りようがありません。法律問題とは言い難いトラブルであっても、是非弁護士に相談し、早期円満解決を図りたいところです。

 

(5)損害賠償

飲食店事業者における損害賠償問題対応については、利用客、近隣住民等、第三者(同業他社等)といった、誰が要求してくるのかによって変わってくることが通常です。

まず、利用客については、法律上の責任が飲食店事業者にある場合、通常であれば損害保険を通じての損害賠償が可能となりますので、金銭面での問題は比較的対処しやすいことが多いと思われます。もっとも、法律上の責任が飲食店事業者にあるとは言い切れない場合、損害保険を通じての損害賠償は原則できません。対応方針にもよりますが、飲食店事業者が何らかの金銭を交付して解決を図る場合は、上記(4)の記事などもご参照ください。

次に、近隣住民等からの損害賠償請求については、厄介になることが多いです。例えば夜間営業中の利用客による騒音や迷惑行為により近隣住民が怒り心頭であるといった事例や、店舗から排出される煙や臭いに対するクレーム、店舗看板の照明による睡眠妨害といったものがあげられますが、執筆者が知る限り、そのほとんどが飲食店舗事業者に法律上の責任ありと断定することが困難な事例です。こういった事例の場合、飲食店事業者としてできる限りの説明は尽くすが、損害賠償要求には応じないという方針を取ることもありますし、何らかの改善行為を行うことを前提に損害賠償要求を取り下げてもらうといった方針を取ることもあります。ケースバイケースの判断にならざるを得ないのですが、この種のトラブルは長期戦(断続的に要求がある)になることが多いのが特徴です。

さらに、第三者(同業他社等)からの損害賠償請求については、妬みやっかみに起因する法的には取るに足らない要求の場合もありますが、同業他社を揶揄する比較広告や店舗スタッフによる同業他社を意識したコメントに起因するトラブルの場合、法律論として全く問題ないとは言い難い事例も存在します。そして、通常こういったトラブルについては、損害保険での対応ができませんので、仮に損害賠償責任を負う事態となった場合は飲食店事業者自らが支払う必要が生じてきます。

上記以外にも様々な理由で損害賠償要求を受けることがあるのですが、法律上の責任の有無、責任がある場合であれば損害の範囲と損害額の合理的算定、交渉の進め方等については、弁護士にアドバイスを受けたほうが無難です。また、法律上の責任ありと断定できない場合、相手に対してどういった対応方針を取るのか(落しどころを探るのか、塩漬けにするのか等)、対応するに際して弁護士を窓口にする必要性はないか等については随時弁護士に相談し、相手の動きがある都度方針を見直すことも含めて弁護士と協議することが望ましい対策と考えられます。

 

 

5.情報に関する問題

 

(1)商標権侵害

飲食店事業では、顧客吸引力が発生する“看板・暖簾”(=店の名称)が非常に重要視されています。一方で重要視されている割には、“看板・暖簾”の使用者である飲食店事業者自らは、その“看板・暖簾”を守るための方策を何ら講じていないことが多いように思われます。

この方策を講じていないがために問題となる場面は主に次の2つです。

1つ目としては、“看板・暖簾”を模倣した飲食店が開業した場合です。いわゆるフリーライドと呼ばれる問題ですが、看板暖簾を使用する飲食店事業者が商標登録を行っていない場合、模倣店に対して法的対抗措置を講じることはかなり困難となります。なお、不正競争防止法に定める混同惹起行為や著名表示冒用行為に該当する場合は、商標登録がなくても法的対抗措置を講じることが可能です。しかし、不正競争防止法が適用されるためのハードルは高く、なかなか用いることができないというのが実情です。この結果、看板暖簾を使用する飲食店事業者は、模倣者に対して何ら法的対策をとれないということになりがちです。

2つ目としては、看板暖簾を使用する飲食店事業者が何らの方策を講じない間に、第三者が当該“暖簾・看板”を勝手に商標出願し、商標登録を得てしまうという問題です。この場合、形式的には看板暖簾を使用する飲食店事業者が商標権侵害を犯していることになってしまいます。不合理と思われるかもしれませんが、商標登録は早い者勝ちである以上、如何ともしがたいのが実情です。

“看板・暖簾”を守りたいのであれば、商標登録は必要不可欠です。商標登録の手続き自体は弁理士に依頼することも可能ですし、飲食店事業者自らが手続きを行うことも可能です。そして登録した商標を武器に、暖簾・看板を第三者から守るための活動は弁護士が対応可能です。最初に記載した通り、“看板・暖簾”は顧客吸引力を有するため、第三者に誤った使い方をされてしまうと、直ちに自らの飲食事業に悪影響を及ぼしてしまいます。問題が拡大しないうちに早期に弁護士に相談し、対抗策を講じたいところです。

 

(2)口コミサイトへの対応

インターネットが世間一般に浸透する状況下で、飲食店にとって脅威となりつつあるのが口コミサイトです。口コミサイトは飲食店利用者に対して一定の影響を与えているのは紛れもない事実であり、特に悪い口コミ内容が投稿された場合、潜在顧客が逃げていくとまで言われています。その意味で口コミサイトにおける、自らが運営する飲食店舗の口コミ内容については否が応でも意識する必要があります。

もちろん、サクラをつかって都合の良い口コミ投稿をさせることはNGです(後で発覚した場合、かえって強い社会的非難と風評被害を招くこととなり、店舗営業に相当支障を来します)。一方で、悪い口コミ投稿がされた場合、どのように対処するのか決める必要があります。ちなみに、投稿された口コミを削除するという方針も考えられますが、投稿内容が明らかに名誉毀損である等の理由がない限り、口コミサイト運営会社が削除することはないと考えておいた方がよいかもしれません。このような現状を踏まえつつ、何らかの形で口コミを削除できないか、削除できないことを前提に飲食店事業者として他の対抗策を講じることができないか等の広報戦略についても弁護士と相談し、随時対処し続けることが肝要です。

 

(3)顧客情報の取得と営業

どの業態でも同じですが、特に飲食事業の場合は常連客(リピーター客)を作ることが重要とされています。一昔前であれば、利用客に気に入ってもらえるよう料理はもちろんのこと接客サービス等を充実させるといった、飲食店事業者による不断の努力が必要とされていました。今でもこの努力は必要ですが、最近ではプッシュ型営業も重視されており、例えば利用客に対してLINEやTwitter等を飲食店の案内・お知らせを随時行うことにより、来店を促すといった取り組みが盛んにおこなわれています。

ただ、利用者のLINEやTwitterのアカウント情報を取得することは、個人情報の取得に繋がります。個人情報を取得しマーケティングに利活用する以上は、個人情報保護法に基づく対応、例えば不正取得と言われないための事前説明、利用目的の明示、利用目的内での使用、情報漏洩防止策の徹底等が必要となります。また、個人を識別することが不十分であっても、アカウント情報はプライバシー情報に該当すると考えられます。したがって、プライバシーを過度に侵害するような用い方(例えば、行動履歴の取得や分析、分析結果の第三者提供など)はしないことも意識したいところです。

ところで、LINEやTwitter等で飲食店の案内・お知らせを行っても訴求力が弱い場合があります。そこで、来店動機を持ってもらうべく、割引クーポンを発行したり、来店ごとでポイントを付与するといった付属サービスを提供することがあります。飲食店事業者の中には勘違いされている方もいるのですが、利用客にとって得であり損することはない以上、何ら法律上の規制がないと考えるのは間違いです。割引クーポン等については景品の該当性を検討する必要があります。また、事前にお金を預かってポイントを付与する場合には資金決済法への対応が必要となります。なお、案内・お知らせはまさしく広告ですので、景品表示法に定める優良誤認・有利誤認等に該当しないよう留意する必要があります。

リピートしてもらうために利用客と接点を持とうとする場合、飲食店事業者が想像している以上に様々な法律が問題になってきます。どういった利用客サービスを行うのか、その事業計画の段階から弁護士に関与してもらい、継続的にアドバイスを受けながら利用客サービスを実施したいところです。

 

(4)レシピの保護

飲食店事業者にとって、レシピは重要な機密情報であり、濫りに第三者に開示しないことはもちろん、店舗スタッフをはじめとした業務従事者に対しても門外不出としている方もいるかと思います。

ただ、意外なことかもしれませんが、実はレシピを直接的に保護するための法制度が現行法では存在しません。特許については出願し登録される必要がありますが、一般的にレシピが特許の対象となる可能性は低いと言わざるを得ません。著作権についてはレシピが記載された媒体上の表現内容がポイントとなってきますが、通常は創作性を欠き著作物に該当しないことになります。その他の知的財産権(実用新案、意匠、商標)については、レシピを対象とする権利とはなりえません。唯一検討できるとすれば、不正競争防止法に定める「営業秘密」としての保護となりますが、中小の飲食店事業者の場合、営業秘密として保護されるための一要件である秘密管理性を充足できるだけの体制構築ができていないのが実情のように思われます。

したがって、レシピに対してどうすれば法的保護が与えられるのかについては、相当緻密に検討する必要があるところ、このような検討と方策の提案は弁護士以外では難しいと考えられます。また、飲食店事業に精通している弁護士であれば、レシピについて法的保護が不十分であることを前提に代替手段による事実上の保護手段を提示することも可能です。レシピは一度漏洩してしまうと、二度と取り返すことは出来ませんし、第三者がレシピを用いて料理提供を行っても文句1つも言えない状況に陥ってしまいます。是非とも弁護士に相談し、レシピの管理の在り方等につき協議を行ってほしいところです。

 

(5)フランチャイズ加盟

上記2.(5)でフランチャイズに触れましたが、ここではフランチャイズに加盟する(=加盟者になる)ことを想定した解説を行います。

さて、飲食のフランチャイズに加盟するメリットと言えば、既に顧客吸引力のある看板・暖簾を用いて店舗運営することが可能、食材等を安定的(かつ安価)で仕入することが可能、オリジナルレシピを用いた料理の提供が可能、経営指導を受けることが可能、その他飲食事業に必要な運営ノウハウを受けることが可能、等々があげられます。したがって、自らがゼロから飲食事業を立ち上げて運営し軌道に乗せようとするよりは、フランチャイズに加盟して飲食事業を運営したほうがはるかに事業成功しやすいことになります。

一方、フランチャイズに加盟した場合、様々な事業運営を行う上での拘束事項があり、特に競業禁止や秘密保持についてはフランチャイズ契約終了後も拘束力を有する内容となっているため、一度フランチャイズに加盟してしまうと、チェーン脱退後は独自で飲食事業を運営することは事実上不可能な状態となります。これらの義務は、フランチャイズ本部が開示するノウハウ等の情報を、フランチャイズに基づく飲食事業以外の目的で使用させないために課せられるのであり、よほどのことがない限りこれらの義務が無効と判断されることはありません。

時々、フランチャイズに加盟することで本部が有する運営ノウハウ等を吸い上げるだけ吸い上げ、吸収完了後はチェーンから離脱し、当該運営ノウハウを用いながら独自で飲食事業を展開することを企てる事業者を見かけたりします。しかし、いくら上手くすり抜けようとしても、どこかで引っかかって制裁を受けることになりますので、執筆者としてはお勧めすることは出来ません。フランチャイズに加盟する場合のメリットとデメリット、及びフランチャイズ契約書に記載されている内容、フランチャイズ加盟後の出口戦略等を検討するに際しては、専門的な法律知識が不可欠です。必ず弁護士と事前に相談し、アドバイスを受ける等して対処するべきです。

 

 

 

<2021年7月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

 

 


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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