PoC(技術検証・実証実験)契約について、弁護士が解説!

 

【ご相談内容】

当社は、従来型の一社専属下請企業から脱却することを目標に、独自の研究開発を続けていたところ、この度有用な技術等を保有するに至りました。ありがたいことに大企業がこの技術等に関心を示してくれたので、早速、提携協議に入ろうと考えています。大企業より秘密保持契約書とPoC契約書の締結を求められたのですが、PoC契約書という言葉を初めて聞いたため、今一つ内容が理解できません。

PoC契約とは何なのか、また、どういった点に注意すればよいのか、教えてください。

 

【回答】

PoCはProof of Conceptの略であり、直訳すると概念検証となります。ただ、経済産業省は技術検証という訳語をあて、さらに現場実務では実証実験の意味で用いられることもあります。

重要なのは、事業者間で共同研究を含む提携協議を行う場合の前段階として、PoC契約を締結するという点です。従前までは秘密保持契約(NDA)を締結し、すぐに共同研究開発等の提携話に進むことが多かったのですが、そもそも対象としている技術等が使い物になるのか(商業的価値があるのか)が分からないことには、提携話も進みません。このため、提携話を進める前提として、事前検証が行われることになるのですが、この事前検証が往々にして技術保有者側が無償でやらされることが多いという問題がありました。

こういった問題への対応の1つとして、PoC契約の必要性が強調されるようになりました。

以下では、経済産業省が公表している、PoC契約のモデル契約書を参照しつつ解説します。なお、経済産業省が公表しているものはスタートアップ企業を主眼としているようですが、技術力を有する老舗の中小企業が大企業と提携協議するという話のほうが、執筆者は多いと感じていますので、以下では、スタートアップ企業に限定することなく、技術等を保有する事業者側視点で解説を行います。

 

 

【解説】

 

1.本記事で検討対象となるPoC契約のひな形について

PoC契約のひな形については、次のリンク先にある、経産省が公表しているモデル契約書を前提にします。

 

経済産業省 「研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0」について

 

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2.目的の重要性

現場実務に関与していると、契約を締結する「目的」について、そもそも明示していない又は抽象的な記載に留まるなどといった軽視が目立ちます。なぜ、目的が重要なのかというと、この目的がはっきりしないことには、

・提供する技術等について、どこまで使用可能かの範囲が確定できない

・技術検証・実証実験により得られた成果の使用範囲が確定できない

・提供技術等により派生した技術等の取扱い範囲が確定できない

ことになり、場合によっては技術の持ち逃げを許すことになりかねない、きわめて深刻なリスクが生じるからです。

したがって、技術等を保有する会社からすれば、目的をどこまで具体的に明示するのかが重要なポイントとなります。ちなみに、経産省が公表しているモデル契約書の条項例では次のようになっています。

(目的)

第1条 本契約は、甲と乙が将来的に共同開発契約を締結することを視野に入れつつ、以下に定める対象技術を対象用途に対して技術導入・適用の可否を判断するため(以下、「本検証の遂行の目的」という。)に行われる技術検証における甲と乙の権利・義務関係を定める。

対象技術:甲の開発した放熱特性を有する新規素材α

対象用途:対象技術を自動車用ヘッドライトカバーに用いた新製品の開発(甲乙の共同開発行為以外には及ばない。)

 

モデル契約書の特徴としては、「対象技術」のみで目的を特定せず、限定的な使用範囲であることを明確にするために「対象用途」を明記し、かつ「甲乙の共同開発行為以外に及ばない」ことまで明記している点があげられます。

 

 

3.検証の実施方法の確認

具体的な検証計画・スケジュールを明記しないことには、どこまで技術検証を行うのか分からなくなり、技術等を保有する会社はいつまでも技術検証に付き合わされる(=時間・労力・費用負担を余儀なくされる)というリスクを抱えることになります。

この点、経産省のモデル契約書では次のような条項例が記載されています。

(定義)

第2条 本契約において使用される次に掲げる用語は、各々次に定義する意味を有する。

1 本検証

第1条に定める甲の技術導入・適用に関する検証をいい、具体的な作業内容は別紙●●に定めるところとする。

(以下省略)

 

(本検証)

第3条 乙は、甲に対し、本検証の実施を依頼し、甲はこれを引き受ける。

2 甲は、本契約締結後3週間以内に、乙に本報告書を提供する。

3 本報告書提供後、乙が、甲に対し、本報告書を確認した旨を通知した時、または、乙から書面で具体的な理由を明示して異議を述べることなく1週間が経過した時に乙による本報告書の確認が完了したものとする。本報告書の確認が完了した時点をもって、甲による本検証にかかる義務の履行は完了するものとする。

(以下省略)

 

(別紙)

本検証にかかるプロセスは概ね以下のとおりとする。なお、本別紙と本モデル契約が矛盾抵触する場合、本別紙が優先する。

①乙は甲に対して、本検証の対象となる製品(ヘッドライトカバー)に関する図面、仕様に関する情報、本検証において期待される放熱性能を含めた目標スペック、その他本検証を甲が進めるにあたり必要となる情報を提供する。

②甲は乙から提供された情報を基に、本検証にかかる詳細計画・スケジュールを提示する。詳細計画は以下を含む。

(省略)

③甲は当該計画に沿って本検証を行い、乙に対して本報告書を納品する。乙は本報告書を速やかに確認し、以下の事項を含む通知を相当な期間内に行う。

(省略)

④甲乙は評価結果が当初想定されたレベルの場合、原則として共同開発契約に移行することとし、そのための措置を速やかに採る。

 

ところで、経産省のモデル契約書の条項例は、技術等を保有する事業者が大手企業から情報開示を受けたうえで、検証作業を行うことが前提になっています。

しかし、技術検証・実証実験は、

・技術等を保有する事業者が試作品を製造し、当該試作品を大手企業に貸渡した上で検証作業を行う場合【貸借型】

・技術等を保有する事業者が製造した試作品を大手企業に販売し、大手企業が製品内に組み込んで(分離不可能な状態にして)検証作業を行う場合【売買型】

・技術等を保有する事業者が開発したプログラムを大手企業にライセンスし、大手企業が機能・稼働状況等の実装検証を行う場合【ライセンス型】

などの複数のパターンが想定されます。

したがって、検証の実施方法に関する条項ついては、モデル契約書の記載方法に拘泥することなく、実情に応じて修正する必要があること要注意です。なお、試作品やプログラムを貸借(ライセンス)又は売渡す場合、現状有姿で引渡しや適合性・有用性・妥当性・適法性等の保証を行わないことを明記する、どの時点で検証終了となるのか明確にする(第3条第3項参照)ことも意識したいところです。

 

 

4.検証の対価

従前までは、技術等を保有する事業者が無償で行うこと(大手企業が材料費のみ負担し、検証作業の対価を支払わない場合を含む)が当然のような風潮がありました。しかし、技術等を保有する事業者からすれば、タダ働きになる可能性もあることから、最近では嫌がる傾向があることはもちろん、経産省や公正取引委員会等の行政側も問題視しているところです。

この点、経産省のモデル契約書では次のようになっています。

(委託料および費用)

第4条 本検証の委託料は●万円(税別)とし、本契約締結時から10営業日以内に全額を、甲が指定する金融機関の口座に振込送金する方法により支払うものとする。振込手数料は乙の負担とする。

 

【変更オプション - 共同研究開発契約を締結しない場合の追加委託料】

甲および乙が、本契約第3条第3項に定める本報告書の確認が完了した日から4ヶ月以内に、共同研究開発契約を締結しなかった場合は、乙は、甲に対し、本検証の追加の委託料として、本報告書確認完了から5ヶ月以内に●万円(税別)支払うものとする。

変更オプションのような追加報酬まで取れるというパターンは、執筆者の経験上相当少ないように思われます。

また、報酬をもらった場合、リンクして出てくる問題が技術検証の成果に対する知的財産権等の帰属の問題です。大手企業からすれば、お金を支払う以上は権利も譲渡されるべきであると主張してくることが多いようです。ただ、対価内容としては、技術検証・実証実験を行う業務に対する対価の支払であって、権利の移転対価まで考慮した報酬設定になっていないことが通常と考えられます。したがって、技術等を保有する事業者からすれば、上記点を指摘した上で、金銭負担と権利移転の問題は別であるというスタンスを崩さずに粘り強く交渉する必要があります。

 

 

5.知的財産権等の帰属

上記4.で少し触れましたが、対価の支払いと知的財産権の帰属は必ずしも連動はしません。そして、理屈の上では、知的財産権の譲渡について何らの定めがない場合、技術等を保有する事業者が元来有していた技術等に関する知的財産権が大企業に譲渡されることはありません。

問題は、技術検証の結果生まれた成果物についてです。成果物には技術等のノウハウが詰まっていますので、安易に成果物に対する権利帰属を大企業にするということは避けるべきです(場合によっては成果物を解析して、類似技術を大企業が取得してしまうことにさえなりかねません)。この点を考慮し、経産省のモデル契約書では、技術等を保有する事業者に帰属することを明確にしています。

(本報告書等の知的財産権)

第9条 本報告書および本検証遂行に伴い生じた知的財産権は、乙または第三者が従前から保有しているものを除き、甲に帰属するものとする。

2 甲は、乙に対し、乙が本検証の遂行の目的のために必要な範囲に限って、乙自身が本報告書を使用、複製および改変することを許諾するものとし、著作者人格権を行使しないものとする。

大企業との交渉では、おそらくこの権利帰属に関する取り扱いについて熾烈な交渉になるのではないかと予想します。そして、交渉の結果、妥協案として知的財産権の共有という提案が行われることがあります。一見するとフェアなように思うかもしれませんが、技術等を保有する事業者にとっては大きな足かせになるリスクがあることを十分に認識する必要があります。なぜならば、権利を共有するとなった場合、技術等を保有する事業者が他の企業に当該技術等をライセンスしたいと考えても、大企業の同意を必要となる可能性が生じるからです。

技術検証・実証実験により生まれた成果物に関する知的財産権を共有とした場合、技術等を保有する事業者は、事実上他社との交渉が禁じられることになり、営業活動に支障を来します。したがって、知的財産権の共有という提案についても、よほどのこと(大企業が事実上買い取るような場合など)がない限り承諾するべきではありません。

 

ところで、経産省のモデル契約書が前提としているのは、成果物が技術検証の結果を記した報告書とされています。したがって、知的財産権の帰属についてそこまでシビアに考えなくてもいいのでは…と思われるかもしれません。

しかし、上記3.で記載したような、技術等を包含させた試作品を大企業に貸借又は売渡す場合、あるいは技術を包含するプログラムをライセンスする場合、技術それ自体が大企業に移転しているという特性があります。この場合、法的なリスクヘッジの観点から知的財産権の帰属について意識することはもちろんのこと、例えばプログラムであれば、ダミープログラムを一部仕込んでおく等して、技術等を保有する事業者が提供した技術等を、大企業が無断で用いていることを容易に証明できるよう、物理的な対策を講じるといったことも検討する必要があります。

 

 

6.技術検証に際しての義務

いわゆる善管注意義務や技術検証実現のための協力義務などはPoC契約特有のものとは言い難い条項となります。もっとも、技術検証がいったん終了し、本格的な共同研究開発を含む業務提携を行うのか、いつまで経ってもはっきりしないという状況は避ける必要があります。

そこで、経産省のモデル契約書では、共同研究開発を行うか否かの回答期限を具体的に設けるという方法をとっています。

(甲の義務)

第5条 甲は、善良なる管理者の注意をもって本検証を遂行する義務を負う。

ただし、前条の委託料の支払を受けるまでは、甲は本検証に着手する義務、およびこれによる責めを負わない。

2 甲は、本検証に基づく何らかの成果の達成や特定の結果等を保証するものではない。

 

(共同研究開発契約の締結)

第6条 甲および乙は、本検証から研究開発段階への移行および共同研究開発契約の締結に向けて最大限努力し、乙は、本契約第3条第3項に定める本報告書の確認が完了した日から2ヶ月以内に、甲に対して共同研究開発契約を締結するか否かを通知するものとする。

 

(乙が甲に提供する資料等)

第7条 乙は、甲に対し、本検証に合理的に必要な資料、データ、機器、設備等の提供、開示、貸与等その他本検証に必要な協力を行うものとする。

モデル契約書第6条では、共同研究開発契約を締結するか否かの回答期限を2ヶ月と設定していますが、回答期限は適宜状況に応じて延長または短縮することは可能です。ただ、技術等を保有する事業者の視点としては、出口戦略とでも言えばよいでしょうか、見込みが薄い取引先との関係は早期に解消し、新たな取引先との協業を開始できるようにすることがポイントとなります(経産省のモデル契約書では触れていませんが、技術検証を行うに際し、技術等を保有する事業者は競業先との技術検証禁止を要請されることがあり、この競業禁止義務からの解放という視点が重要となります)。

したがって、上記の第6条のような規定は是非とも規定したい内容です。

 

また、上記3.で記載した「検証の実施方法」とも関係してくるのですが、検証作業が進むにつれ(中間報告を行った後という場合も含む)、当初想定していなかった実験等を追加で行うということがあります。

ただ、経産省のモデル契約書の前提となっている、技術等を保有する事業者が実証実験を行うパターンの場合、時間・労力・費用等の負担が過大となりがちです。当然のことながら、技術等を保有する事業者がサービス(無償)で対応するわけにはいきません。そこで、経産省のモデル契約書では、オプションの追加条項として次のような条項案が提案されていますが、技術等を保有する事業者が実証実験を行う場合は、是非とも次のような条項を明記したいところです。

(契約内容の変更)

第●条 本検証の進捗状況等に応じて、検証事項が想定外に拡大した等の事情により、検証期間、委託料等の契約条件の変更が必要となった場合、甲または乙は、その旨を記載した書面をもって相手方に申し入れるものとする。当該申し出があった場合、甲および乙は、速やかに契約条件の変更の要否について協議するものとする。

2 前項の協議に基づき、本契約の内容の一部変更をする場合、甲および乙は、当該変更内容が記載された、変更契約を締結するものとする。

 

 

7.一般条項の取扱い

タイトル通り、PoC契約特有の条項ではありません。ただ、あえてコメントするとすれば、執筆者が契約書チェック等を通じて間接的に関与した経験を踏まえると、PoC契約から共同研究開発を含む業務提携契約に進んでいく案件は、むしろ少ないという印象です(何かしらの理由で中断します)。その観点からすると、契約関係からの離脱、すなわち出口戦略を契約当初から意識しておくことが非常に重要ではないかと考えます。

この点、経産省のモデル契約書では、解除事由の1つとして「本報告書および本検証遂行に伴い生じた知的財産権の有効性を争った場合」というものが記載されており、ここは特徴的なものと言えるかもしれません。また、解除事由に関連して、上記3.で記載したような検証実験方法として、技術等を保有する事業者が制作した試作品等を先方に提供する形式の場合、例えば、当該試作品等を目的外で使用した場合は即時解除の対象となる、当該試作品等の無断複製物を制作した場合は即時解除の対象となる、といった技術等が盗まれたかのような外観を呈する場合の対抗措置という視点で解除事由を明記するというのも一案かもしれません。

(損害賠償)

第10条 甲および乙は、本契約の履行に関し、相手方が契約上の義務に違反しまたは違反するおそれがある場合、相手方に対し、当該違反行為の差止めまたは予防および原状回復の請求とともに損害賠償を請求することができる。

2 甲が乙に対して負担する損害賠償は、故意または重大な過失に基づくものである場合を除き、本契約の委託料を限度とする。

 

(解除)

第11条 甲または乙は、相手方に次の各号のいずれかに該当する事由が生じた場合には、何らの催告なしに直ちに本契約の全部または一部を解除することができる。

①本契約の条項について重大な違反を犯した場合

②支払いの停止があった場合、または競売、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続続開始、特別清算開始の申立てがあった場合

③手形交換所の取引停止処分を受けた場合

④本報告書および本検証遂行に伴い生じた知的財産権の有効性を争った場合

⑤その他前各号に準ずるような本契約を継続し難い重大な事由が発生した場合

2 甲または乙は、相手方が本契約のいずれかの条項に違反し、相当期間を定めてなした催告後も、相手方の債務不履行が是正されない場合は、本契約の全部または一部を解除することができる。

 

(期間)

第12条 本契約は、本契約の締結日から6ヶ月、または、第3条第3項に定める確認が完了する日のいずれか早い日まで効力を有するものとする。

 

(存続条項)

第13条 本契約が期間満了または解除により終了した場合であっても本契約第5条第2項(甲の義務)、第6条(共同研究開発契約の締結)、第7条(乙が甲に提供する資料等)第2項および第3項、第8条(秘密情報、データおよび素材等の取扱い)から第12条(損害賠償)、本条、第14条(準拠法管轄裁判所)ならびに第15条(誠実協議義務)の定めは有効に存続する。

 

(準拠法および管轄裁判所)

第14条 本契約に関する紛争については、日本国法を準拠法とし、●地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

 

(協議解決)

第15条 本契約に定めのない事項または疑義が生じた事項については、協議の上解決する。

 

 

8.補論~秘密保持の取扱い

「補論」とタイトルを付けましたが、重要ではないという意味ではありません。間違いなく、秘密保持条項は、技術等を保有する事業者にとっては生命線となる条項であり重要です。

ただ、技術検証等を行う際の一般的な流れとしては、PoC契約の前又は同時に別途秘密保持契約を締結することが通常です。このため、別途締結した秘密保持契約書で対処可能なはずであり、あえてPoC契約で秘密保持条項を明記する必要性はないと考えることも可能です。また、両者で内容が微妙に異なる場合、別途締結した秘密保持契約の内容とPoC上の秘密保持条項の内容のどちらが優先するのか等の問題も起こりえます。さらに、技術等を保有する事業者としては、技術検証等で有意な結果が得られた場合、自社アピールもかねて積極的な広報を行いたいと考えるところ、秘密保持契約により広報活動ができないということもあり得ます。

これらの点につき、経産省のモデル契約書では、①技術検証・実証実験を行うことが決まった段階で、秘密情報として追加するべき事項が発生することが多いことを踏まえて、その点を追加で明記していること(下記の第1項に定める「本検証によって得られた情報(本報告書に記載された情報を含む。)(別紙●●に列挙されたものを含む)」というものが指摘部分に該当すると考えられます)、②別途締結した秘密保持契約書とPoC上の秘密保持条項の関係性を明記することで対処可能としたこと(下記の第10項が指摘部分に該当すると考えられます)、③いわゆるプレスリリースに関する取扱いを明確にすること(下記の第7項が指摘部分に該当すると考えらえます)、を特徴とする条項例を掲載しています。

(秘密情報、データおよび素材等の取扱い)

第8条 甲および乙は、本検証の遂行のため、文書、口頭、電磁的記録媒体その他開示等の方法ならびに媒体を問わず、また、本契約の締結前後に関わらず、甲または乙が相手方(以下「受領者」という。)に開示等した一切の情報およびデータ、素材、機器およびその他有体物ならびに本検証によって得られた情報(本報告書に記載された情報を含む。)(別紙●●に列挙のものを含む。以下「秘密情報等」という。)を秘密として保持し、秘密情報等の開示等した者(以下「開示者」という。)の事前の書面による承諾を得ずに、第三者に開示等または漏えいしてはならないものとする。

2 前項の定めにかかわらず、次の各号のいずれか一つに該当する情報については、秘密情報に該当しない。

①開示者から開示等された時点で既に公知となっていたもの

②開示者から開示等された後で、受領者の帰責事由によらずに公知となったもの

③正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負わずに適法に開示等されたもの

④開示者から開示等された時点で、既に適法に保有していたもの

⑤開示者から開示等された情報を使用することなく独自に取得し、又は創出したもの

3 受領者は、秘密情報等について、事前に開示者から書面による承諾を得ずに、本検証の遂行の目的以外の目的で使用、複製および改変してはならず、本検証遂行の目的に合理的に必要となる範囲でのみ、使用、複製および改変できるものとする。

4 受領者は、秘密情報等について、開示者の事前の書面による同意なく、秘密情報等の組成または構造を特定するための分析を行ってはならない。

5 受領者は、秘密情報等を、本検証の遂行のために知る必要のある自己の役員および従業員(以下「役員等」という。)に限り開示等するものとし、この場合、本条に基づき受領者が負担する義務と同等の義務を、開示等を受けた当該役員等に退職後も含め課すものとする。

6 本条第1項および同条第3項ないし第5項の定めにかかわらず、受領者は、次の各号に定める場合、可能な限り事前に開示者に通知した上で、当該秘密情報等を開示等することができるものとする。

①法令の定めに基づき開示等すべき場合

②裁判所の命令、監督官公庁またはその他法令・規則の定めに基づく開示等の要求がある場合

③受領者が、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士等、秘密保持義務を法律上負担する者に相談する必要がある場合

7 本条第1項および同条第3項ないし第5項の定めにかかわらず、甲および乙は、相手方の事前の承諾なく、「甲乙間で本検証が開始された事実」を第三者に公表することができるものとする。

8 本検証が完了し、もしくは本契約が終了した場合または開示者の指示があった場合、受領者は、開示者の指示に従って、秘密情報等(その複製物および改変物を含む。)が記録された媒体、ならびに、未使用の素材、機器およびその他有体物を破棄もしくは開示者に返還し、また、受領者が管理する一切の電磁的記録媒体から削除するものとする。なお、開示者は受領者に対し、秘密情報等の破棄または削除について、証明する文書の提出を求めることができる。

9 受領者は、本契約に別段の定めがある場合を除き、秘密情報等により、開示者の知的財産権を譲渡、移転、利用許諾するものでないことを確認する。

10 本条は、本条の主題に関する両当事者間の合意の完全なる唯一の表明であり、本条の主題に関する両当事者間の書面または口頭による提案、およびその他の連絡事項の全てに取って代わる。

11 本条の規定は、本契約が終了した日より5年間有効に存続するものとする。

 

 

 

<2021年3月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

 

 

 

契約書についてのご相談


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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