【動画解説】会社担当者が知っておきたい契約書と覚書との違いとは?弁護士が徹底解説!

【ご相談内容】

契約書、覚書、合意書などタイトル・表題が異なる文書がありますが、法的な違いはあるのでしょうか。

【回答】

××契約書、覚書、誓約書、確認書、合意書…等々いろいろな表現がありますが、タイトル(表題)によって優劣はありませんし、法的効力は全く同じです。

なお、これに関連し、印紙税に関して誤解のある点についてもポイント解説を行います。

【動画解説】

契約書と覚書に違いはあるのか?(その他契約書作成に役立つ知識)

【解説】

1.書面のタイトルによって法的効力に相違点はないこと

ご相談内容に対する回答は、上記の回答欄に記載した通りとなります。

関連してよくお問い合わせを受ける事項として、契約書のタイトルと中身(各条項に定められている内容)とに相違がある場合に法的効力はあるのか、というものがあります。

極端な例かもしれませんが、契約書のタイトルを「賃貸借契約書」としても、中身(条項)が売買契約の内容になっていた場合、法的には売買契約が成立することとなります。決して、タイトルだけから賃貸借契約と評価され、あるいは売買契約の成立が否定されるということにはなりません。

また、関連して、法的効力に相違がないとして、××契約書、覚書、誓約書、確認書、合意書…等々はどういやって使い分ければよいのか、こういった問い合わせも受けたりします。結論から申し上げると、法律上は使い分けを意識する必要がないということになります。

では、どうして世間ではいろいろなタイトル(表題)がでてくるのでしょうか。

これは執筆者自身も正直よくわかりません。あくまでも執筆者の感覚だけで申し上げるとすれば、双方当事者が互いの権利義務を約定した、双方当事者が署名押印する文書については、「契約書」、「覚書」または「合意書」といったタイトル(表題)がつけられる傾向があるように思います。 一方、一方当事者の他方当事者に対する約定や確認を表明する文書については、「念書」、「差入書」または「同意書」といったタイトル(表題)が付されるようです。なお、後者の場合は、一方のみが義務を負担するという形になりますので、事実上の力関係とでもいえばよいでしょうか、「念書」、「差入書」または「同意書」といったタイトル(表題)の文書に署名押印する側が、相対的に弱い立場にあるのかな…という気はします。

2.法的効力の無い合意書面が存在する?

ちなみに、日本ではなじみが薄いのですが、海外との取引、特にM&A取引を行う場合、「MOU(Memorandum of Understanding)」や「LOI(Letter of Intent)」と書かれた書面(日本語では基本合意書、覚書と訳されることが多いです)が取り交わされることがあります。一般的には法的拘束力はないとされていますが、内容(条項の定め方)如何によっては法的拘束力が生じる場合があると考えられます。また、日本法が準拠法となる場合、「契約締結上の過失」といった一方的な交渉破棄に対する損害賠償責任の原因となりうる場合もあります。したがって、MOUやLOIについて、一律に法的拘束力なしと考えるべきではありません。

3.契約書のタイトルと印紙税の関係

法的効力とは少し外れる話題になるのですが、契約書であれば印紙が必要、覚書であれば印紙不要という間違った認識を持たられている方もいるようです。しかし、明らかな間違いです。タイトルによって印紙の有無が決まるわけではなく、あくまでも契約書に記載している内容から導き出される契約類型に従って、印紙の有無、額が決まることになります。

印紙と契約書の話については、その他次のようなこと質問もよく受けますので、ご参考までに記載しておきます。

>>継続的取引契約を締結する際に注意するべき印紙税のポイントとは?

(1)印紙を貼らないと契約書は無効?

結構多い質問なのですが、回答は印紙を貼るか貼らないか関係なく、署名押印があれば契約は有効です。あくまでも印紙の貼り付けは税務の問題であり、法的有効性とは異なる問題と考えればよいかと思います。

(2)電子データ上での契約についても印紙が必要?

これも最近多い質問なのですが、電子データであれば印紙は不要です。印紙税の課税対象は「文書」であり、「データ」ではないからです。最近では印紙税を削減するため、あえて電子データ上での契約締結を進めている事業者もいますので、今後は契約書という文書形式は減少してくかもしれません。

(3)契約書の「写」、「副本」、「謄本」には印紙の貼り付けは不要?

契約書2通を作成し、それぞれを「正本」とするのであればどちらにも印紙の貼り付けは必要と認識される方が多いのですが、「写」、「副本」、「謄本」では不要と思われる方も多いようです。しかし、「写」、「副本」、「謄本」であっても印紙が必要というのが税務当局の見解です。

(4)契約書のコピー(署名押印を行わずコピーだけのもの)には印紙の貼り付けが不要?

少しややこしいのですが原則的には印紙の貼り付けは不要です。

ただし、契約書のコピーに例えば「正本と相違がないこと」という一文を添えて押印(割印を含む)した場合、印紙税の課税対象文書になってしまいます。印紙税を削減するという観点からすれば上記のような文言を添える等することは回避するべきという話にはなるのですが、一方で、契約書のコピーを保有することになる当事者にとっては、本当に原本とコピーが同一内容なのか、裏付け証拠がなくなってしまうことになります。非常に悩ましい話にはなってしまうのですが、ケースバイケースで判断するしかなさそうです。

4.以上の通り、「契約書」と「覚書」とでは、法的な効力に違いは生じません。中身(条項)が大事であると考えていただければと思います。

 

<2020年1月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

弁護士へのご相談・お問い合わせ

当サイトの記事をお読みいただいても問題が解決しない場合は
弁護士にご相談いただいた方がよい可能性がございます。

下の電話番号もしくはメールにてリーガルブレスD法律事務所までお問い合わせください。

06-4708-7988 メールでのご相談

運営事務所

当事務所は大阪で中小企業の法務に特化したリーガルサービスを提供しています。一貫して中小企業法務に力を入れてきたため、高い専門性とノウハウを取得することができました。結果として大阪を中心に多くの企業様から支持を受けています。企業の法務問題で顧問弁護士をお探しの方は、リーガルブレスD法律事務所にご相談ください。

アクセスランキング

人気記事ランキング

MAIL MAGAZINEメールマガジン

法律や話題のニュースを弁護士の視点で解説。
無料で読めるメルマガの登録はこちらから。
プライバシーポリシーに同意の上、登録してください。

メールマガジン登録