取引先が破産した場合において、債権者がやるべき初期対応(ショート記事)

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企業法務に関する相談を受けていると、ある程度似通ったご相談をお受けすることがあります。

このWEBサイトを訪問されている方におかれまして、ご参考までの情報共有として、以下記載します。

 

 

ご相談内容

当社は、売掛金を持っています。

取引先に対して支払い要請を行っていますが、色々理由を付けては支払ってもらえない状態です。

そうこうしているうちに、取引先は自己破産の申立を行ったようで、今般、裁判所より書類が届きました。初期対応としてどのようにすればよいでしょうか。

 

回答

裁判所が破産開始決定を行い、破産手続きがスタートしたという前提で以下検討します。

ポイントは次の3点です。

 

(1)担保権の有無

破産したとはいえ、破産手続きを無視して優先的に回収行動をとることができないかという視点での検討となります。

担保権というと、抵当権のことをイメージする事業者が多いようです。

たしかに、抵当権は担保権の1つです。

しかし、金融機関でもない限り、一般の事業者が抵当権を持っていることはまずありません。

ここで検討したいのは、①所有権留保②動産先取特権③商事留置権、の3つです。

所有権留保ですが、売買契約書で「所有権は支払い完了をもって買主に移転する」といった形で持っているかを確認することができます。

買主に商品は引渡し済みであっても、売主は所有権を保有し続けていますので、引渡し済み商品の返還を求めることができます。もし商品が無傷で残っているのであれば、実質的な債権回収を図ることが可能です。

次に動産先取特権ですが、これはあまり知られていない権利かもしれません。売買契約に基づき引渡した商品それ自体、及び買主が第三者に転売した際の転売代金債権に対して差押えができるという権利です。なかなかイメージしづらいかと思いますので、とりあえず、売買契約であれば動産売買先取特権で何とかなるかもしれない、直ぐに弁護士に相談しよう…とだけ覚えておけばよいかと思います。

最後に商事留置権ですが、たまたま破産者に所有する物を預かるなどして保管していた場合、売掛金を支払わない限り、物は返還しないと主張することができる権利となります。要は交換条件を持ち掛けることできるので、回収可能性が高まるということです。

 

(2)債権届出書の作成と提出

担保権の有無を問わず、破産手続きがスタートした以上、破産手続きそれ自体には乗っかる必要があります。

おそらく裁判所から送付されてきた書類には、債権届出書を作成し提出する旨の記載があると思われます。

必要事項を記入し、必要書類を揃えた上で裁判所に提出すればよいのですが、書き方が分からない、債権の存在を示す証拠として何を提示すればよいか分からないというご相談をよくお受けします。

分からない場合は、弁護士に相談し、作成してもらった方がスムーズです。

 

(3)債権者集会への出席

×月×日に××裁判所で債権者集会を開催するので、参加したい人は参加するよう案内する書類も同封されているかと思います。

ただ、よほどのことがない限り、債権者集会へ参加する必要はありません。

なぜなら、参加してもほぼ発言権はありませんし、専門用語による説明が行われるだけで、法律家以外の方には正直何をやっているか分からないというのが実情だからです。

破産手続きの進捗等を確認したいのであれば、破産管財人(氏名や連絡先は裁判所が送付してきた書類に記載されています)に直接聞いた方が早いですし、分かりやすく説明してくれます。

 

 

<2024年5月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

 

 

 

債権回収についてのご相談


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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