訴訟手続きに必要な「お金」とは、具体的に何を指すのか(ショート記事)

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企業法務に関する相談を受けていると、ある程度似通ったご相談をお受けすることがあります。

このWEBサイトを訪問されている方におかれまして、ご参考までの情報共有として、以下記載します。

 

 

相談

訴訟を行う場合、よく「金がかかる」という話を聞きますが、具体的にはどういった「お金」がかかるのでしょうか。

 

回答

例えば、損害賠償金を支払ってもらえないので裁判で決着を付けたい…と考えた場合、自らが訴訟を提起することになります。この場合、必要となる費用は次の通りとなります。

①印紙代…訴訟提起する際に裁判所に納める手数料とイメージすれば分かりやすいかと思います。この印紙代は、請求額に応じて異なってくるのが特徴です(請求額が大きくなれば、印紙代も増額という関係になります)。

②郵券…訴訟提起する際に裁判所に納める郵便切手代です。上記①の印紙代は全国共通ですが、郵券は裁判所ごとで微妙に異なっています。訴訟を提起しようとする裁判所に事前に確認したほうが無難です。

③現在事項全部証明書取得費…自らが法人である場合、相手方が法人である場合、現在事項全部証明書を訴状と一緒に提出する必要があるのですが、その入手費用です。法務局で入手でき、原則1通あたり600円です。

④その他実費…さまざまなものが考えられますが、コピー代(訴状については、裁判所提出用に1通、相手方送付用に1通、自らの控え用に1通と、最低でも3部作成する必要があります)、裁判所に出廷するための交通費、裁判の進行に応じて書類を提出必要がある場合はその郵送代とコピー代などの負担が生じます。

以上が実費になるのですが、裁判手続きを弁護士等の代理人に依頼する場合、代理人への依頼費用(弁護士費用等)が別途必要となります。

この依頼費用(弁護士費用等)については、受任者である弁護士が自由に値段設定していますので、はっきり言ってしまうとピンキリです。

一応の相場はありますが、受任者はその相場に従う義務がありませんので、依頼者としては色々と比較参照しながら決めていくほかありません。

 

一方、訴訟を受けて立つ側で必要となる費用ですが、上記で記載した「印紙代」や「郵券」の負担は当面ありません。

あえて当面と書いた趣旨ですが、訴訟遂行の結果、敗訴判決を受けた場合、訴訟費用の負担を命じられることになるのですが、その場合、印紙代や実際に使用した郵券について負担をする必要が生じるからです。つまり、最終的に負担する可能性があるという点を押させておく必要があります。

なお、よく「訴訟費用に弁護士費用が含まれるのか」という質問をいただくのですが、裁判所が負担を命じる訴訟費用に弁護士費用は含まれません。弁護士費用は依頼した者の自己負担が原則となります

結局のところ、訴訟を受けて立つ側は、現在事項全部証明書を取得する必要もありませんので、実費として負担するのは、当面は出廷するための交通費、裁判の進行に応じて書類を提出必要がある場合はその郵送代とコピー代などとなります。

もちろん、弁護士等の代理人に依頼した場合は、その依頼費用を負担する必要があります。この依頼費用についても、受任者ごとで自由な値段設定となっていますので、依頼者は比較参照しながら決めていくほかありません。

 

以上が「訴訟に金がかかる」正体なのですが、おそらく皆様が不安になっているのは、結局のところトータルでどれくらいかかるのか予見できないことではないかと思います。

この点については、依頼しようと考えている弁護士等に対し、見積書の発行を要求すればスッキリすると思います。少なくとも弁護士については、見積書を発行する義務が課せられていますので、遠慮なくお申し付けください。

 

 


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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