社長が従業員より離婚相談を受けた場合への対応(ショート記事)

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複数の企業経営者様とお話していると、ある程度似通ったご相談をお受けすることがあります。

このWEBサイトを訪問されている方におかれまして、ご参考までの情報共有として、以下記載します。

 

 

ご相談

当社従業員が離婚手続きで悩んでいるようです。

仕事にもやや支障をきたしているので少し話を聞いてあげようと思っているのですが、離婚に際して、何を決めておかなければならないのでしょうか。

 

回答

離婚手続きを進めるに際しては、大きくは、

  • 当事者間で協議して進める
  • 代理人弁護士を立てて進める
  • 離婚の調停手続きを申立て、調停手続き内で進める

という3つの方法があります。

記3つの方法に優劣はありませんので、例えば、いきなり離婚調停手続きの申立てを行うことでも法的には何ら問題ありません。

 

次に、離婚が法的に成立するための条件ですが、実は2つしかありません。

  • 当事者間で離婚の意思があること
  • 未成年の子供がいるのであれば親権を決めること

この2つの条件を満たしているのであれば、離婚届に記入し役所に提出すれば離婚は成立することになります。

 

最後に、離婚に伴い、取り決めておいたほうが良い事項は次の通りです。

(a)子供に関連する事項

・養育費の金額、支払期間、支払い方法

・面会交流の有無、実施回数(頻度)、実施方法

・健康保険の切替え

(b)住宅

・住み続けるのか、引っ越しするのかの確認(引っ越しする場合は新たな居住先の確保)

・住み続ける家が持家の場合、登記名義の変更の有無、今後の住宅ローンの支払い(持家の売却信金を当ててもなお住宅ローンが残る場合を含む)

・住み続ける家が借家の場合、賃借人名義の変更の有無、今後の賃料支払い

(c)財産の清算(財産分与)

・結婚して以降の現金、預貯金の変動確認と清算

・マイカーの清算(所有者・使用者名義の変更、ローンが残っている場合は支払い方法)

・生命保険(解約して解約返戻金を清算するのが原則)

・学資保険、子供名義の預貯金(清算対象から外すか否かの協議)

(d)名前

・結婚に伴い氏を変更していた場合は、結婚前の氏の戻るのが原則(引き続き結婚後の氏を使用したいのであれば、離婚後3ヶ月以内に役所に手別途手続きが必要)

・親権者が結婚前の氏に戻っても、子供は結婚時の氏のままであることに注意

・親権をとっても、結婚時に戸籍の筆頭者になっていない場合、当然に子供の戸籍が移るわけではないことに注意

(e)年金分割

・日本年金機構にて処理手続きを行う必要あり

 

なお、いくら面倒見の良い社長であっても、全ての事項につき相談に乗ってあげるというのはおよそ不可能だと思われます。

知り合いの弁護士を紹介する、弁護士相談が日中となる場合は業務に融通を利かす、センシティブな内容なので他の従業員にバレないようにする、といった間接支援を重視したほうがよいかもしれません。

 

 

また、経営者の離婚の場合、上記以外にも別視点での検討が必要となる場合があります。

詳しくは次の記事をご参照ください。

経営者・社長が離婚する場合の注意点について、弁護士が解説!

 

 

 

 

 

リスク管理・危機管理のご相談


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

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