シフト制にて雇用管理する場合の法務ポイントについて、弁護士が解説!

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【ご相談内容】

当社では、柔軟な働き方を実現するべく、正社員の一部に対し、希望する勤務時間を会社が割り当てる「シフト制」を導入しようと検討しています。

そもそも正社員に導入ができるのかについても分からないのですが、仮に導入できるとして、法律面でどういった点に注意すればよいのか教えてください。

 

 

【回答】

「シフト制」は、正社員・非正規社員問わず導入することは可能です。

また、「シフト制」は数ある雇用形態の1つに過ぎませんので労働基準法や労働契約法等の適用があります。ただ、労働基準法や労働契約法等が必ずしもシフト制を意識した定め方になっていないことから、通常とは異なる労務管理が必要となります。

なお、シフト制については、厚生労働省が次のような資料を公表していますが、本記事では会社側視点で、厚生労働省が必ずしも明らかにしていない事項も適宜触れながら解説を行います。

 

(参考)

いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項(厚生労働省)

 

 

【解説】

 

1.シフト制とは

 

(1)定義

シフト制という用語は日常的に用いられていますが、法律上の定義があるわけではありません。一般的には、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態のことを指します。

例えば、コンビニや飲食店などの業態で、アルバイトやパートといった非正規社員が従事する場合に用いられることが多いと言われています。

 

(2)他制度との相違

シフト制と呼ばれるものには、例えば、24時間稼働する工場にて昼勤と夜勤と当番制で交替しながら従事する場合をも指すことがあります。ただ、この場合、労働契約を締結した時点で勤務日・勤務時間が決まっており(そのため月給制にて契約することが多い)、交代勤務制と呼ぶ方が正確と考えられます。とはいえ、シフト制・交替勤務制とも法律上の定義があるわけではありませんので、用語例の使い方ではなく、勤務日・勤務時間の保証があるのかという点で区別する必要があります。

また、シフト制と混同される制度として「変形労働時間制」と呼ばれるものがあります。変形労働時間制は繁忙期と閑散期に合わせて所定労働時間を長くしたり短くしたりという調整を可能にする制度であり、シフトを定めて勤務するか否かとは本来関連性がありません。ただ、(1ヶ月単位の)変形労働時間制とシフト制を組み合わせて運用している会社も多いことから、意識的に区別されていないことが多いようです。なお、変形労働時間制は法律上の制度であり、一定期間とはいえ法定労働時間越え労働を認める例外的制度であるため、厳格な法的手続きを踏む必要があります。しかし、シフト制は法律上の制度ではありませんので、特別な法的手続きを踏むことなく導入可能です。

 

2.シフト制を運用するに際して注意するべき事項

 

(1)労働条件通知書の記載

労働契約を締結する際、会社は労働条件を明示する必要があり、そのうちの一部は書面等で提示しなければならないとされています(労働基準法第15条第1項、労働基準法施行規則第5条)。このため、実務的には、明示しなければならない全ての事項を記載した書面(労働条件通知書と呼ばれることが多いですが、労働契約書として定めることでも問題ありません)を従業員に交付して対応しています。明示しなければならない事項は次の通りです。

労働契約の期間に関する事項

期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

就業の場所及び従業すべき業務に関する事項

始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項

賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項

臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項

労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

安全及び衛生に関する事項

職業訓練に関する事項

災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

表彰及び制裁に関する事項

休職に関する事項

 

このうち、シフト制を運用する上で特に問題となりやすいのが、上から4つ目の項目にある「始業及び終業の時刻」についてです。なぜなら、シフト制の場合、労働契約を締結した時点で具体的な勤務日・勤務時間が定まっていない以上、明示しようがないという問題があるからです。

この点、厚生労働省は、「単に『シフトによる』と記載するのでは足りず、労働日ごとの始業及び終業時刻を明記するか、原則的な始業及び終業時刻を記載した上で労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等をあわせて労働者に交付するなどの対応が必要」という見解を出しているところ、多くの会社では守れてない状況ではないかと推測されます。対策としては、次のような記載を行うことが考えられます。

【就業時間】所定労働時間を1日8時間とし、勤務日、各日の始業・終業の時刻及び休憩時間については、次のいずれかを原則として予め指定する。但し、業務上の必要性によって他の勤務時間帯を指定することがある。

①7時~16時(休憩11時~12時)

②11時~20時(休憩15時~16時)

③15時~24時(休憩17時~18時)

 

上記よりさらに踏み込んで、例えば、会社が従業員に対して、ある程度勤務日数を義務付けたいと考える場合、

  • 一定の期間において、労働する可能性がある最大の日数、時間数、時間帯を明記する
    (例:「毎週月、水、金曜日から勤務する日をシフトで指定する」など)
  • 一定の期間において、目安となる労働日数、労働時間数を明記する
    (例:「1か月○日程度勤務」、「1週間当たり平均○時間勤務」など)
  • 一定の期間において最低限労働する日数、時間数などを明記する
    (例:「1か月○日以上勤務」、「少なくとも毎週月曜日はシフトに入る」など)

といった記載をすることも問題ありません。

但し、(5)で後述しますが、ここまで踏み込んで記載した場合、会社がシフトカットした場合は休業手当や賃金相当額の補償等が問題となりますので、その点注意が必要です。

 

ところで、勤務の裏返しとなる「休日」について、厚生労働省は、「労働基準法では、使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも 1 回又は4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないこととされています(労働基準法第 35 条)ので、最低でもこうした内容を満たすような考え方を明示する必要」とするに留まっています。したがって、次のような記載でも足りると考えられます。

【休日】勤務シフト表により会社が指定した日

 

なお、労働条件通知書の記載内容と就業規則に定められている内容とに矛盾が生ずる場合において、労働条件通知書の記載内容が就業規則より従業員にとって不利益な場合、当該記載内容は無効となり、労働契約の内容となりません(労働契約法第12条)。

したがって、労働条件通知書の記載内容を見直す際は、必ず就業規則の見直しもセットで行うよう意識づけて頂ければと思います。

 

(2)勤務シフトの作成・変更ルール

シフト制は法律上の制度がない以上、勤務シフトの作成や変更ルールについては特段の決まり事はありません。しかし、どういった方法でシフトを作成し通知するのか、シフトを変更したい場合の手順はどうするのか等を決めておかないことには、当日になって割当になっている従業員が勤務していない等の問題が発生します。したがって、勤務シフトの作成に際しては、最低でも次のような事項につきルールを定めておくことが望ましいと考えられます。

 

  • 従業員に対し、希望シフトの申請期限を明らかにする
  • 各シフトにおける割当予定人数を事前に明らかにする
  • シフト割当希望者が割当予定人数を超過した場合、どのように選別するのか基準を明らかにする
  • 不足するシフトへの割当て(必ずしも希望に沿わない割当て)を行う場合があることを明らかにする
  • 確定した勤務シフトについて、誰がどのような方法を用いて、いつまでに対象従業員に通知するのか等を明らかにする

 

次に、いったん確定した勤務シフトについて、従業員の都合により変更要請があった場合を想定して、次のような事項につきルールを定めておくことが望ましいと考えられます(なお、会社都合による変更の場合、休業手当等の問題が関係するところ、この点は(5)で後述します)。

 

  • 勤務シフト確定の通知後、当該勤務シフトの対象期間が開始する前の段階において、勤務日、勤務時間等の変更を申出る場合の期限や手続
  • 確定した勤務シフトの対象期間が開始した後の段階において、勤務日、勤務時間等を変更する場合の期限や手続

 

ちなみに、勤務シフトの対象期間が開始する「前」と「後」による分類は、厚生労働省が公開している例を参照しています。ただ、この分類により具体的にどういった相違が生じるのか、厚生労働省は理由を述べていません。

そのため、あくまでも執筆者の推測に過ぎませんが、おそらくは勤務シフトの対象期間が開始した後である場合、勤務日・勤務時間に関する合意の拘束力が強く、やむを得ない理由がない限り、従業員の申出を拒絶しても会社は責任を負わない(むしろ従業員が懲戒処分を含め何らかの法的責任を負う)と考えられるのに対し、勤務シフトの対象期間の開始前である場合、たしかに合意による拘束力はあるが、一種の仮合意(予約)に留まると捉えることで、理由の如何を問わず従業員から申出があった場合、会社は考慮しなければならない、といった相違を想定しているのではないかと考えられます。

とはいえ、一度確定したシフト変更を変更することは、他の従業員とのスケジュール調整を含めシフト割当担当者の負担を重くしますので、時期による区分を行うにしても、「勤務シフト確定の通知後、×日以内(この期限は当該勤務シフトの対象期間開始前に設定する)」の前後で区分し、当該申出期限を経過した後は、原則シフト変更不可能(正当事由がある場合は除く)と従業員向けにアナウンスする方が、労使双方責任をもって業務遂行できるのではないかと考えられます。

 

(3)均等待遇・均衡待遇

いわゆる働き方改革によって、(日本版)同一労働同一賃金=均等待遇・均衡待遇が法制度化されました。シフト制にて従事する従業員はパートやアルバイトといった非正規社員が多いとされているところ、当該従業員と正社員との業務内容や就労時間が同一であれば均等待遇、すなわち賃金や福利厚生等について正社員と非正規社員と同等にする必要があります。また、当該従業員と正社員との間で業務内容が就労時間に差異がある場合、賃金や福利厚生等について当該差異を考慮してもなお不合理な格差をつけることは許されません。

特に飲食店などで多いのですが、正社員と非正規社員との業務内容・就労時間がほぼ同じという事態が生じていますので、直ちに対応が必要です。

なお、「(日本版)同一労働同一賃金=均等待遇・均衡待遇」については、別記事もご参照ください。

 

大阪医科薬科大学/メトロコマース/日本郵政判決と同一労働同一賃金対策につき弁護士が解説!

 

非正規社員に対する待遇差説明への対応について、弁護士が解説!

 

(4)年次有給休暇の取扱い

シフト制で勤務する従業員であっても、法律上は年次有給休暇を取得し、行使することが可能です。また、働き方改革の1つとして定められた、原則として5日間の年次有給休暇を強制取得させなければならない制度(労働基準法第39条第7項)も適用されます。

ただ、現場実務では、従業員より「その日は都合が悪くなったので休みたい」と申出があった場合、会社はシフト変更にて対応し、単なる欠勤扱いとなっていることが多いように思われます。たしかに、従業員より明確に「有給を取得したい」と言われない限り、会社としても勝手に年次有給休暇として処理するわけにはいかないので致し方がないところがあります。しかし、原則5日の年次有給休暇強制取得制度が定められた今日において、上記のような処理を今後も続けるわけにはいかないのも事実です。

今後の方向性としては、

  • 単なるシフト変更(欠勤扱い)として取扱うのではなく、年次有給休暇の取得を案内する
  • 従前の取扱いはそのままにしつつ、年次有給休暇の計画的付与を実施する

といった現場改革が必要になると考えられます。

 

(5)休業

勤務シフトが確定したにもかかわらず、従業員の責任ではない理由により当該シフト日に勤務させなかった場合、会社は最低でも平均賃金の6割に相当する休業手当を支払う必要があります(労働基準法第26条)。なお、会社に責任がない場合であれば、休業手当を支払う必要はありませんが、極めて限定的な場面(ちなみに、昨今の新型コロナの蔓延を原因とした行政からの営業自粛要請の場合、果たして会社に責任がないと言え切れるのか見解が分かれています)でしか適用されないこと、注意が必要です。

もっとも、現場運用として、会社から従業員に対し、「シフト変更し、他の勤務日を割り当てたい(それで勘弁してほしい)」と要請し、従業員の了解を取り付けて対応することが実情かと思われます。たしかに、従業員からすれば賃金自体は減少するわけではありません。また従業員が割当日の変更に同意している以上、会社としても休業手当を支払う必要はないことになります。ただ、実際のところ、本当に従業員が納得しているのか(無理やり同意させられたのではないか)という疑問が付きまとうのは事実であり、後日(特に退職後)休業手当の支払い請求を受けるリスクが残ることに留意する必要があります。

 

ところで、休業に関連してですが、そもそも論として会社が従業員に対してシフトを割り当てなかった場合、どういった問題が発生するのかについてもここで触れておきます。

世間ではシフトカットと呼ばれたりしますが、建前論だけでいくと、シフトが割り当てられていない以上、従業員は業務従事していませんので、会社も賃金を支払う必要がないという結論になります。しかし、従前までは月に20日ほどシフト割当があったのに、突然シフト割当がゼロとなった場合、果たしてこの建前論だけで対処できるのかというと、やはり問題があります。すなわち、従業員が「シフトを入れろ(賃金を支払え)」と何らかの要求を行ってくるのではないかというリスクです。

たしかに、会社は従業員に対して、シフトを割り当てなければならない義務が当然に発生するわけではありません。しかし、例えば、最低シフト数について何らかの合意があったと認められる場合には、その合意違反として、シフトに入れなかった分に対応する賃金相当額の支払い請求が認められる可能性があります。また、例えば、会社が何らかの害意をもってあえてシフト外しを行ってきたというのであれば、それは会社の裁量権の逸脱=違法行為となりますので、シフトに入れなかった分に対応する賃金相当額の支払い請求が認められる可能性があります。

上記例に記載したような理論構成は、実はすでに裁判例が存在します(従業員の主張が認められています)。もちろんケースバイケースの判断となりますが、会社としては、安易にシフト外しを行うことは厳に慎むべきと考えられます。

 

(6)その他

シフト制で勤務するからといって、労働基準法や労働契約法等の適用が除外されるわけではありません。したがって、

・1日8時間、週40時間の法定労働時間規制が適用されること

・法定労働時間を超えた場合は割増賃金を支払う必要があること

・法定労働時間規制及び割増賃金規制の適用を免れるのであれば、変形労働時間制を組み合わせる必要があること

・6時間超勤務で45分、8時間超勤務で60分の休憩時間を付与する必要があること

・有期雇用の場合、一定の条件を満たした場合には無期転換雇用として取扱う必要があること

・定期健診を受けさせなければならないこと(要件を満たした場合)

・社会保険、労働保険の加入義務があること(要件を満たした場合)

等々の正社員と同様の取扱いを行う必要があることにも留意したいところです。

 

 

3.シフト制従業員との契約を終了させる場合

 

シフトに基づき業務従事する従業員であっても、労働基準法及び労働契約法等の法律が適用されること、上記2.(6)で記載した通りです。したがって、シフト制であることを理由とした特別な事項はありませんが、以下では簡単にポイントを整理しておきます。

なお、シフトを入れないことによって、事実上契約を終了させたことと同一状況に追い込む場合の問題点については、上記2.(5)をご参照ください。

 

(1)会社より終了させる旨伝える場合

・解雇

期間の定めのない契約(無期雇用)である場合はもちろん、有期雇用であっても期間途中で、会社が労働契約を終了させようとする場合は解雇に該当することになります。ただ、可能であれば、いきなり解雇ではなく、退職勧奨等を通じて合意退職に持ち込んだほうがベターです。なぜなら、後で不当解雇であるとして争われた場合、会社として全く無傷で済むことはまずあり得ないからです(時間・労力が強いられることはもちろん、金銭的にも結果的には合意退職させたほうが安あがりになることが多いというのが実情です)。

どうしても解雇せざるを得ない場合、次の点に注意をするべきです。

  • 就業規則が存在するのであれば、就業規則上の根拠事由があるのか検討する
  • 就業規則がない場合、労働契約の不履行又は義務違反に該当する事由を検討する(なお、懲戒解雇は不可能であることに注意)
  • 問題視している事由が「客観的に合理的な理由」かつ「社会通念上相当である」といえるのか検討する(専門判断を必要とするため、弁護士に相談するのが望ましいです)
  • 従業員側に非がない(経営上の都合による)場合、整理解雇の4要素を充足するか検討する(やはり、専門判断を必要とするため、弁護士に相談するのが望ましいです)
  • 即時解雇であれば解雇予告手当の支払いを行う(予告解雇であれば、予告期間中は就労させ、賃金を支払う必要あり)
  • 離職票を速やかに発行する(なお、離職事由について、会社と従業員との間で認識の相違がある場合、後日ハローワークより調査が入ることを意識する)

 

・期間満了により終了(更新拒絶)する場合

形式的には解雇に該当しませんので、何ら問題がないように思われるかもしれません。しかし、いわゆる雇止めが社会問題化したため、現在では「反復して更新されることによって無期契約と同一視される状態となっている場合」、又は「更新されると労働者が期待することが合理的であると認められる場合」のいずれかに該当する場合、会社は更新を拒絶することができないとされています(労働契約法第19条)。

 

(2)従業員より終了させる旨伝える場合

期間の定めがない(無期雇用)場合、従業員はいつでも退職の申出を行うことができ、当該申出後2週間経過することで労働契約は終了となります(民法第627条)。たとえ、2週間を超えた将来分までシフトが確定していたとしても、従業員は労働契約を終了させることができることに注意が必要です。

一方、期間の定めがある(有期雇用)場合、従業員はやむを得ない事由がないことには、期間の途中で労働契約を解消することはできません(民法第628条)。もっとも、やむを得ない事由の有無にかかわらず、退職を申し出てくる従業員は残念ながら業務を遂行する意欲がないことも多く、仕事を任すことができないというジレンマもあります。会社としては、やむを得ない事由の有無について一応の検討はしつつも、代替の従業員を割り当てることが可能なのか、現場に混乱が生じないか、引継ぎの必要性はないかといった当該従業員が抜けることを前提に対策を検討したほうが良いかもしれません。

 

(3)従業員が突如出勤しなくなった場合

病気等で一時的に出勤ができなくなった可能性がありますので、できる限りの連絡は取りつつ、どうしても連絡が付かない場合は、無断欠勤を理由として解雇するほかないと考えられます。

なお、突如出勤しないことでシフトが乱れ、事業活動に支障を来すことは十分あり得る話であり、これによって生じた損害賠償を請求するということも理論上は考えられます。しかし、具体的な損害額を法的にどうやって算出するのか悩ましいという問題もさることながら、一従業員に請求して損害を回収できるのかという点も考慮する必要があります。この点、賃金から相殺して一部でも回収したいと考える方もいますが、残念ながら会社が一方的に賃金から相殺控除した場合、違法行為として色々と不都合なことに巻き込まれます。

非常に悔しい気持ちは理解できるのですが、事前対策無くして突発的に対処することはできないこと、十分理解しておく必要があるかと考えます。

 

 

<2022年2月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

 

 


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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