資金調達の方法と留意したい法務のポイントについて弁護士が解説!

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【ご相談内容】

当社は非上場・非公開の中小企業です。特定の得意先を持ち、そこからの支払いに依存した財務体質になっているところ、得意先が事実上の倒産状態となり、入金が期待できなくなりました。当該入金を元に下請先や協力会社への支払いに回していたため、このままでは支払資金がなくなってしまいます。

そこで、早急に資金調達を行おうと考えているのですが、金融機関への融資申請以外で対処できる資金調達の手段はあるのでしょうか。その方法と注意点を教えてください。

 

 

【回答】

中小企業の場合、資金調達というと金融機関からの借入れという発想が真っ先に思いつくかと思います。もちろん、その発想自体は間違いではありません。

しかし、金融機関からの借入れ「のみ」が資金調達の方法だと考えるのであれば間違いです。

金融機関からの借入れ以外の資金調達の方法を知っておくことで、緊急での短期資金需要にも耐えることができます。

以下では、アセットファイナンス(資産からの資金調達)、デッドファイナンス(負債からの資金調達)、エクイティファイナンス(資本からの資金調達)に分けて、解説を行います。

 

 

【解説】

 

1.アセットファイナンス(資産からの資金調達)

 

(1)基本的な視点(B/Sからの洗い出し)

アセットファイナンスのポイントは、現在必要としていない資産を現在価値で現金化するということです。貸借対照表(B/S)の借方(左側の項目)が資産一覧表になっていますので、そこから現在必要性の乏しい資産を見つけ出すことが、まずもっての検討事項となります(ちなみに、B/Sをざっと眺めただけでも、遊休不動産、利用していないゴルフ会員権、保有し続ける意味のない株式、取引のない信用金庫への出資証券などが見つかったりします)。

ところで、現在必要性の乏しい資産を洗い出したものの、いざ現金化する段階となり、次に記載する事項が障害として表面化することがあります。

 

・主観的な価値がある資産

創業時に購入した不動産や工場機械などが典型例です。もちろん気持ちは大事なのですが、残念ながら気持ちだけでは金を生み出すことはできません。客観的に見て資産が価値を生み出していないのであれば、何らかの処分を行い現金化するのが経営上は得策です。

・担保対象資産

不動産への(根)抵当権設定などが典型例です。資産を売却等することで当該資産の名義人が変更となっても、担保権者に影響をあたることは原則ありません。しかし、例えば銀行からの借入れの場合であれば、無断の名義変更は約定違反となります(期限の利益喪失による一括返済を迫られるなど、キャッシュフローに重大な影響を与えかねません)。資産を売却等する前に担保権者と話をつけておく必要があります。

・コストと時間がかかる資産

ここでいうコストと時間とは、資産を現金化するために売却等した際に発生するコストと時間のことを言います。例えば、不動産であれば不動産業者への仲介手数料や司法書士費用、売却に伴う税金などのコストが発生しますので、これらを考慮(控除)した手取り額を把握しておく必要があります。また、郊外にある広大な敷地等の場合、なかなか買い手がつかないことで現金化に時間がかかるといったことも考慮する必要があります(要は今すぐ資金の需要に応えられないということです)。

 

上記のような障害への対策を講じつつ、資産の現金化を進めることになります。次に、B/Sには表れているものの、単に眺めただけでは発想しづらい資産の現金化について、いくつか紹介します。

 

(2)売掛のファクタリング

ファクタリングとは債権の売買のことを意味します。すなわち、取引先に対して有する売掛金等の債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、債権の現金化を図るということです。ファクタリングのメリットは、売掛金等の支払期日前に現金化できること、(原則的には)回収不能リスクをファクタリング会社に転嫁できることにあります。回収不能リスクの点では差異がありますが、期日前の現金化については一昔前の手形割引をイメージすれば分かりやすいかもしれません。

もっとも、ファクタリングを利用する場合、2点気をつけるべき事項があります。

・手数料が控除されること

当然と言えば当然なのですが、ファクタリング会社も商売である以上、名目はともかく手数料を徴収します。したがって、売掛等について額面額通りの現金化を行うことはできません。

・債務者(取引先)の協力が事実上不可欠であること

やや専門的な話になってしまうのですが、ファクタリングを債権の売買と捉えると、法律上は債権譲渡を行ったことになります。この債権譲渡を債務者(取引先)に対抗するためには、債務者への確定日付のある通知又は承諾が原則必要となります。債務者(取引先)からすれば、ファクタリング会社から督促を受けることになりますので、あまり良い気分ではありません。この点につき、どうやって協力を取り付けるのかが検討事項となります。

 

(3)リースバック

リースバックとは、保有していた資産をいったんリース会社に売却し、当該資産をリース会社より借り受けるという取引のことを言います。このリースバックの特徴は、資産をリース会社に売却することで一時的な資産現金化を可能にしつつ、当該資産を引き続き使用可能とする点です。例えば、運送会社において一時的に資金が必要となった場合、保有するトラック等の車両をリース会社に売却し、当該車両のリースを受けることで、事業継続を図るといった事例があったりします。なお、最近では自社ビルのリースバックの事例なども増加しているようです。

資産を引き続き使用しつつ、一時的な資金需要ニーズを満たすという点では非常に魅力的な資金調達手法なのですが、デメリットもあります。

まず、そもそも論としてリースバックの対象となる資産についてはある程度絞りがかけられる、すなわち市場価値のあるものに限定されるという点です。リース会社としても、万一支払いが滞った場合、リース対象物件を第三者に売却する等して回収を図ろうとしますので、ある意味では当然のこととなります。また、中長期的な視点で見た場合、当該資産を使用するために必要となるコストはリースの場合が上回ることが通常です。一時的なキャッシュフローの改善につながることは間違いありませんが、将来的には(リース料の支払いが積み重なって)重い負担になることを考慮する必要があります。さらに、資産を売却している以上、自らの所有物ではありません。このため、万一リース料の支払いができない等となった場合、事業を遂行するためには必要な資産であっても使用不可となり(リース会社が引上げ等を行う)、経営を維持することが不可能となります。

あくまでも一時的な資金需要を満たすものであり、将来的にはツケを残すものであることを考慮する必要があります。

 

(4)生命保険の見直し

生命保険に加入する動機や目的は様々なものがありますが、会社が加入している生命保険の場合、多くの場合は解約返戻金が発生するタイプ(終身保険や定期保険など)が多いようです。

したがって、不必要な生命保険であれば、解約することで現金化(解約返戻金)を図ることが可能です。また、生命保険の対象としている保険金を減額(一部解約)できるのであれば、減額した分に応じた解約返戻金を受け取れる場合もあります。

なお、解約まではしたくないという場合、契約者貸付制度を利用することで、一時的な資金需要を満たすことが可能です(解約返戻金相当額の6~7割くらいの金額を生命保険会社より貸付けてもらえるようです)。

生命保険は万一の保険事故に備えた加入するものですが、事業年数が長ければ長いほど当初の加入目的と齟齬が生じていることが多いようです。もちろん支払保険料の変動や解約返戻金を受領することによる税金負担も考慮する必要がありますが、生命保険を見直すことで資金需要を満たすことも可能ということは、もっと広く知られてよいのではないかと考えます。

 

(5)倒産防止共済

もともとは取引先が倒産した場合に備えて加入する共済なのですが、税金対策(掛金が全額損金になる等)で加入している事業者も多いようです。

上記(4)の生命保険と類似しますが、取引先の倒産等が発生していなくても、一時的な資金需要のために解約手当金を担保にすることで、中小機構より借入が可能という制度が設けられています。長期的な分割返済はできない(1年内での一括返済)という点は注意が必要ですが、検討してみる価値はあると思われます。

 

(6)その他

伝統的には、売掛金等の期日前回収、貸付債権の早期回収、在庫処分などによる資金調達が考えられます。

一方で最近では、(資産による資金調達というのは正確ではないのですが)B/Sの資産欄にある動産や売掛金を担保にした資金調達(ABL)、知的財産権等の無形資産を担保又は信託譲渡することによる資金調達、不動産の証券化といった新たな方法も試みられています。

中小企業の場合、資金調達=金融機関からの借入れという発想になりがちですが、他にも方法があること、その相談先の1つとして弁護士がいるということも知っていただければと思います。

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2.デッドファイナンス(負債からの資金調達)

 

(1)基本的な視点(B/Sとキャッシュフロー計算書)

負債からの資金調達とタイトルを付けたものの、やや語弊があるかもしれません。デッドファイナンスを考える場合、今ある負債をB/S等から正確に把握すること(B/Sであれば貸方、右側欄を確認することになります)を前提に、キャッシュフロー計算書(資金繰り表)を作成の上、キャッシュの支出を抑制する(先延ばしにする)というのが基本発想となります。

すなわち、100万円の負債があるとしても、明日100万円全額返済しなければならないのか、半年後に100万円返済しなければならないのかによって、明日の資金繰りが大きく異なってきます。あるいは、明日から毎月一定期日支払いによる10カ月分割弁済であれば、やはり明日の資金繰りに相違が出てきます。

デッドファイナンスは、単に負債額を眺めるのではなく、負債の支払い方法に着目することで資金に余裕を持たせる(=現金が残るという意味で結果的に資金調達したのと同じ状態)という考え方になります。

 

(2)リスケジュール

デッドファイナンスとして、現在世間で一番浸透しているものはリスケジュール(いわゆるリスケ)と考えられます。リスケジュールを実行した場合、一定期間内における1回あたりの支払額が減ることになりますので、減った分を他の資金として充てることが可能となります。

ただ、リスケジュールを実行した場合、リスケジュール申請先から新規融資を受けることはほぼ不可能となります。また、例えばリスケ申込先が銀行であった場合、他行からの新規融資も困難となります(いわゆる信用情報が銀行間で共有されることになるため)。また、そもそも論として、リスケジュール申請に対し、金融機関が応じなければならない法的義務が課せられているわけではないため、絶対にリスケジュール可能と言い切れないことにも注意が必要です。

リスケジュールを申請する場合、客観的な事業計画書の作成が必要不可欠です。ただ、客観性を変に重視するがために、社長・経営者自らが一切作成に関与せず(税理士やコンサルタントが全面的に作成することが多い)、事業計画書の内容を社長・経営者が説明できないというのでは、残念ながら話になりません。金融機関は、事業計画書上に現れている数字の根拠等を社長・経営者自らが説明できない場合、信用に値しないと判断してしまうからです。社長・経営者の熱意が金融機関に伝わらないことには、リスケジュール実現もままならないことは、十分に理解してく必要があります。

 

(3)債務の一本化

例えば、複数の金融機関より融資を受けている場合、融資条件の相違(金利や返済期間、1回あたりに返済額など)、事業者に対する支援姿勢が異なっていることがあります。こういった場合、事業者にとって有利な返済条件を提示している金融機関からの融資に一本化する、いわゆる借換えを実行できないか検討するべきです。

なぜなら、借換えを実行できた場合、融資条件が事業者にとって有利に変更となる、すなわち1回あたりの返済額が減少しますので、その減少分を他の資金需要に回すこと(資金調達)が可能となるからです。

なお、やみくもに借換え(債務の一本化)を金融機関に提案しても、金融機関はまともに取り扱ってくれません。債務を一本化することで返済可能性が高まること、(多くの場合)金融機関にとっても長期的には金利を多くとれることを示す必要があります。したがって、月次及び年次のシミュレーションはもちろんのこと、返済完了時までの事業計画書を作成し、社長・経営者自らがプレゼンテーションできるだけでの準備が必要となります。もちろん書類作成に際しては、できる限り客観性を持たせる必要がありますので、第三者の力を借りるべきですが、最終的には社長・経営者が自ら数字の根拠を語る必要があることは上記リスケジュール提案と同様となります。

 

(4)新規融資

社会の状況に応じて生まれてくる公的融資制度等を利用することで新規の資金を得るというのは、当然検討するべきですが、ここでは単純な新規融資とは異なるものを解説します。

さて、上記1.でも少し触れましたが、新規融資を得るための方策として、今保有している資産を利用できないかを検討することで、新たな資金調達を図ることが可能となる場合があります。

例えば、会社が契約者となっている生命保険の解約返戻金を担保にした契約者貸付制度を利用するのが典型例です。また、会社が保有する機械設備や在庫品などの動産や売掛金等の債権を担保にした譲渡担保(ABL)についても、最近では金融機関も積極的に応じるようになってきています。

なお、短期かつ一時的な資金需要のために、いわゆるビジネスローンを用いて資金を得るということも方法としては考えられます。ただ、ビジネスローンの場合、金利が高く返済期間も短期となるため、ビジネスローンにより得たお金を返済できる見込みが立てられない場合は利用するべきではありません。返済見込みが立たないままビジネスローンを利用した場合、ビジネスローンの返済を行うがために他の借入れを行うことを繰り返す、いわゆる多重債務となってしまいます。残念ながらこうなってしまうと、事業を再建することは難しい状態となってしまうので注意が必要です。

 

(5)少人数私募債

少人数私募債とは、要は社債を発行することで資金を集めることです。少人数=50人未満を対象とする、私募=特定の関係者を対象とする、という特徴をもった社債発行手続きとなるため、金融商品取引法上の規制が原則及ばないことから、比較的簡易に利用できる制度となります。

当然のことながら社債である以上、将来的には集めたお金は、利子をつけて返済する必要があります(この点で株式発行と異なります)。しかし、返済時期は通常数年先を設定して募集することになりますので、集めた資金=調達した資金をそのまま現在の資金需要に充てることが可能となります。

一方で、この少人数私募債の難点は、なんといっても中小零細企業の場合、なかなか募集に応じてもらえないという点にあります。ただ、ある程度事業継続している会社であり、しっかりとした事業内容(利益を出せる事業部門がある等)を持ち合わせている場合であれば、その会社をよく知る一定内の人物が募集に応じてくれることで、利用できる場合があります。社長・経営者を含む人間関係が最重要となる制度と言えるかもしれません。

 

(6)交渉の進め方について弁護士からアドバイスを

デッドファイナンスの場合、交渉先との利害対立が大きくなるため、友好的に話を進めつつ、言うべきことは言うというスタンスを持つことが肝要となります。何をどこまで言ってよいのか、逆に何を言ったらNGなのか等の交渉論や進め方については、交渉慣れしている弁護士の得意分野とも言えます。

税理士・公認会計士とは異なった視点を持ち、より有利に交渉を進めるためには別途弁護士からもアドバイスを受けるのも有用です。

 

 

3.エクイティファイナンス(資本からの資金調達)

 

(1)基本的な視点

上記1.及び2.と異なり、エクイティファイナンスの場合、財務諸表を分析して資金調達の方法を考えるというフローとはなりません。端的には、会社のオーナーである株主として新たな第三者を迎え入れる代わりに、資金を入れてもらうという社長・経営者の決断の問題となります。

もちろん、非上場の中小企業の場合、“出資するだけの価値がある会社なのか”という点を吟味されますので、誰でも(どんな会社でも)エクイティファイナンスを実行できるわけではありません。ただ、財務と事業計画のディスクローズを前提に健全経営を実践するのであれば、出資者は意外と見つかったりします。

以下では、どういったところが出資候補者として考えらえるのか解説します。

 

(2) 中小企業投資育成会社

新規で資金調達を行いたい、しかし株主としてあまり経営には口出ししてほしくないと考える場合、中小企業投資育成会社からの出資を引き出せないか検討します。

中小企業投資育成会社は政府系の投資事業者ですので、無茶苦茶な経営介入は行ってこないという反面、政府系ですので審査等にどうしても時間がかかります。また、投資後に安定的な株主配当が可能かという観点で審査を行いますので、財務・資本戦略が重要となります。とはいえ、出資対象となる会社はかなり広いので、自社の価値を知る意味でも相談してみるのも一考です。

 

(3)ベンチャーキャピタル

上記(2)の中小企業投資育成会社とは真逆の、株主として会社経営に色々な要求を行いつつ、出資を行う投資事業者となります。ベンチャーキャピタルも色々な種類がありますので、一概には言えませんが、出資に対するリターンを強く求めている以上、基本的にはIPO(株式公開)を想定している会社が投資対象となりがちです。したがって、出資を受けたいと考える側にとっては、ややハードルが高いところがあります。

 

(4)エンジェル(個人投資家)

エンジェル投資は創業者向けというイメージが強いかもしれませんが、一定程度の社歴がある会社であっても、新規事業を立ち上げる場合などでエンジェルより投資を受けることがあります。

ただ、エンジェルを見つけることは容易いことではなく、独自の人脈が必要と言われています。最近ではネット上にエンジェルとのマッチングサイト(後述するクラウドファンディンもこの一種と言えます)も存在しますが、現時点では全面的に信頼してよいのか慎重な判断を要するのではないかと思われます。

 

(5)業務提携等に伴う企業グループへの参加

例えば、地域密着型の運送会社が、その地域への進出を検討している他の運送会社と業務提携を行い、当該運送会社から出資を受けて資金調達するといった事例などを最近は耳にするようになってきました。

要はM&Aなのですが、出資を行う側は出資先のグループ化を行うものの、出資先自体を吸収するつもりはない、一方で出資を受ける側も会社自体は存続することができ、独自性を活かすことが可能(但し、出資を受けた以上、従来通りの全く自由な経営は行うことはできない)という事例が多いのが特徴です。地域戦略、得意業務、役割分担等で協業先を募集している会社の情報は、金融機関等が持ち合わせていることが多いようなので、必要に応じて金融機関に仲介の相談を行ってみるのもよいかもしれません。

 

(6)クラウドファンディング

クラウドファンディングという言葉自体は最近よく耳にするかと思いますが、一口にクラウドファンディングといっても色々なタイプがあります。おそらく現在日本で主流なのは“購入型”と呼ばれるものであり、お金を出してもらった見返りとして、事業者が新規商品や特殊なサービスを提供するといった内容のものとなります。

さて、ここで記載するのは、“株式型”と呼ばれるものであり、未公開株式への出資をインターネット上で募るものとなります。これについては金融商品取引法等の法規制があるため、中小企業自らが出資の募集を行うことは通常不可能です。したがって、専門のクラウドファンディング業者を利用することになりますが、業者を利用する以上、手数料等が必要となります。目標調達額の達成の有無を問わず手数料が発生する場合があること、目標調達額に達成した場合の手数料はいくらなのか等を考慮しつつ、実際の調達金額がいくらになるのか、調達したお金が手元に入ってくるタイミングはどの時点なのか等々の細かな資金繰り計画が必須となることに要注意です(一般的に直ぐに現金化することは困難です)。

ちなみに、“融資型”又は“貸付型”と呼ばれるクラウドファンディングもありますが、日本ではソーシャルレンディングと言う方が主流かもしれません。これはクラウドファンディング業者より借入れを行うという形式になりますので、エクイティファイナンスによる資金調達には該当しないことになります。

 

(7)その他

エクイティファイナンスによる資金調達の基本は、株式発行(株主割当、第三者割当)となります。この株式を発行する際、種類株式を利用するのか等の戦略は当然必要となってきます(ベンチャーキャピタルやエンジェルに関しても同様です)。

また、中小企業ファンドから出資を受けるという方法もあります。ただ、ファンドである以上、リターンの問題が当然出てきますので、中長期的な視点での資金調達とはなりづらいところがあります。

エクイティファイナンスの場合、会社の経営権を確保するためにはどうすればよいのかという、きわめて高度な法律問題に対処する必要があります。可能な限り、弁護士に相談しながら進めるのが良いと考えます。

 

 

 

<2021年5月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

 

 

 

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弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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