不正行為疑惑のある従業員よりヒアリング調査する場合の注意点(ショート記事)

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不正行為の疑いのある従業員より話を聞く場合、色々と気苦労があるかと思います。

とはいえ、社内秩序を維持するためには、適切な調査を行い、事実関係を明らかにした上で対処することが必須です。

本記事ではヒアリング調査を行う場合に注意するべき事項を、チェックリスト方式で解説しました。

 

 

ご相談

当社の従業員が不正行為を働いているとのタレコミがありました。本人より話を聞こうと思うのですが、どのような点に注意すればよいでしょうか。

 

回答

経営者としては色々と思うところがあり、先に結論を決めて取り掛かってしまうかもしれません。

しかし、予断を持つことは危険です。少なくとも初回ヒアリング時は、とにかく話を聞いてみる(結論を出すのは初回ヒアリング後にする)というスタンスで臨むことをお勧めします。

具体的な注意点は次の通りです。

 

<ヒアリング環境に関して>

  • 別室に呼ぶなりして、他の従業員が一見してわかる状況で行わないこと(衆人環視では見せしめになり、パワハラと言われてしまう可能性があります)
  • 本人からのヒアリングはできる限り就業時間中に行うこと
  • 会社側としては2名で対処すること。なお、隠し録音でもいいので、ICレコーダー等を通じて協議内容を録音する(3名以上となると威圧的と感じてしまい、かえって問題が生じるので注意が必要です)
  • ヒアリング時間は長くても1回あたり1時間程度にすること
  • 言葉遣いに気を付けること(淡々と話し、決して感情的な物言いはしないことが重要です。また結論ありきの聞き方は絶対にしないでください。なお、相手方が隠し録音している可能性があることを肝に銘じてください)

 

<進行に関して>

  • 別室入室後、相手に対し、まずは本日のヒアリングの目的を伝えること(例:「不正行為の疑いがあるため、本日はお話を聞きたいと考えています」と伝えるなど)
  • 上記目的を伝えたのち、貴社が保有する証拠を開示する前に、まずは相手に対し、不正行為の認識を持っているか(思い当たる節は無いか)尋ねること
  • (認めた場合)1つずつ詳しく聞き取りを行うこと
  • (認めなかった場合)貴社が保有する証拠を提示し、これに対する本人の弁解をとりあえず聞くこと
  • (証拠を提示してもなお認めない場合)無理に自白させようとせず、「あなたの言い分は聞きました。今後はさらに社内で調査を行い、最終的な判断を行います」とだけ伝え、ヒアリングを終了させること
  • 本人が会社に対し、「解雇ですか?」等の不利益処分があり得るのかと聞いてきたとしても、「今日はあなたの言い分を聞くだけであって、まだ会社の方針は決まっていない」とだけ回答すること。

 

<本人が(一部でも)不正行為を認めた場合>

  • 手書きでいいので、「×年×月×日分に××という不正行為があったことを認めます」といった趣旨を記載した書類をその場で提出させること

 

<その他>

  • ヒアリング前に、証拠書類の入手、第三者の証言などを収集すること(ヒアリング対象者が会社の調査前に、証拠隠滅等を図ることを防止するため)

 

 


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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