不当解雇と言われた場合の対処法(ショート記事)

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使用者(企業・事業者)側で労務トラブルに関するご相談を受けていると、似通ったご相談をお受けすることがあります。

このWEBサイトを訪問されている方におかれまして、ご参考までの情報共有として、以下記載します。

 

 

ご相談

問題行動の多い従業員を解雇したところ、後日、弁護士名義の通知書が送付されてきました。

そこには「不当解雇であり、解雇を撤回せよ」、「解雇を言い渡した日以降の賃金を支払え」と記述されています。

どのように対応すればよいのでしょうか。

 

 

回答

不当解雇に関する問題は、どのような経営者であっても最低1回は発生してしまう問題といっても過言ではありません。

不当解雇であるとの指摘を受けた場合、次のようなステップで検討を進めれば、だいたいのポイントは押さえられるかと思います。

 

①元従業員を再度勤務させてもよいのか確認する

解雇を言い渡したものの、人材不足等の問題もあり復帰する気があるなら復帰しても構わないといった経営者側の積極的事情がある場合、あるいは時間・労力・金をかけて争うくらいなら職場復帰させて解決を図るといった経営者側の消極的事情がある場合など、様々な理由が考えられますが、あえて相手の要求を受け入れるという作戦はあり得る話です。

もっとも、労使間の信頼関係は相当揺らいでいますので、元従業員が復帰した後の処遇や取扱いは注意が必要となります。

一方、社内の士気が下がる、一度解雇した者と二度と顔を合わせたくない等の事情がある場合、職場復帰はあり得ないという方針を取ることになります。

 

②どこまで徹底抗戦するのか確認する

時間・労力・金の問題は抜きにして、とにかく職場復帰は許さないのは当然のこと、プライドにかけて解雇を貫くという方針の場合、交渉決裂後の裁判手続き(労働審判、民事保全、民事訴訟など)、労働組合が介入しているのであれば組合活動の激化対応(街宣活動やビラ配布、取引先への直接行動など)と行政手続き(不当労働行為救済申立など)など、新たなステージに移行することを覚悟し、準備を進める必要があります。

なお、この準備ですが、徹底抗戦するだけの証拠を収集することができるのかといった解雇紛争の勝敗を分ける中身の検証はもちろんですが、手続きを担当する人材の配置や業務分担等の社内対応も当然必要となります。また、一般的には社内の人材だけで裁判手続き等へ対応することは困難であることから、手続きを代理する弁護士の選任も重要となります。

一方、職場復帰は認めないが、あまり時間を掛けたくないというのであれば、金銭解決を図ることができないか模索することになります。

金銭解決する場合ですが、「解雇した日から解決した日までの賃金相当額(バックペイ)+3~12ヶ月程度の賃金相当額(一種の手切れ金)」を「解決金」名目で支払うことが多いように感じます。

 

③合意書に何を定めておくか確認する

職場復帰を前提にした合意書を作成する場合、職場復帰日、解雇した日から職場復帰日までの期間中の賃金の処理、復帰後の職務内容、復帰に際しての遵守事項を定めることが多いと思われます。

一方、金銭解決(解雇を撤回し合意退職扱いとする)の場合、解決金額と支払い時期、支払方法は当然のことなのですが、解決金に関連する税金と社会保険の処理につき社内で検討しておく必要があります(源泉や社会保険料控除を行うのか、行わないのであればどのような会計処理を行うのか等)。

また、相互に誹謗中止をしない、合意内容及び交渉経過につき秘密保持義務を課すといった風評被害対策に関する合意を盛り込むことも検討に値します。

 

 

 


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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