会社都合扱いとする離職票発行要請への対応(ショート記事)

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使用者(企業・事業者)側で労務トラブルに関するご相談を受けていると、似通ったご相談をお受けすることがあります。

このWEBサイトを訪問されている方におかれまして、ご参考までの情報共有として、以下記載します。

 

 

ご相談

従業員が退職届を持参の上、辞めたいと言ってきたので、特に引き留めもせず辞めてもらいました。

その後、自己都合扱いの離職票を提出したところ、元従業員より会社都合扱いに変更してほしいとの要請がありました。

このような要請は受け入れてよいのでしょうか。

 

 

回答

元従業員より「会社都合扱いでの退職」とするよう要請があったとしても、事業者はこの要請に従う義務はありません

したがって、本件では自己都合扱いとして退職処理手続きを進めれば足ります。

ところで、解雇・退職に関して、会社都合か自己都合かという取扱いは、実のところ労働基準法及び労働契約法には存在しない概念となります。

法的には会社都合・自己都合を問わず、労働契約が終了したという点では同じだからです。

 

このため、事業者としても特に利害得喪はないと考え、会社都合扱いでの退職処理に変更することは特に問題がないのではと考えることもあるようです。

しかし、法的には特段の差異はなくても、助成金の申請や受給が関係してくる場合、会社都合か自己都合かは重要なファクターとなります。もし助成金の申請等を検討している場合、なおさら従業員からの要請に応じるべきではありません。

 

なお、本件とは異なり、解雇する場合、元従業員に何らかの非があることを理由にクビにする以上、自己都合扱いになると考える方もいるのですが、基本的には間違いです。解雇は原則会社都合扱いとなることに注意が必要です。

また、従業員が自ら退職届を出してきた場合であっても、退職した原因が給料未払いや過労死ライン寸前の残業による体調不良などといった会社に責任のある事由の場合、ハローワークは会社都合扱いとして処理することがある点にも注意が必要です。

 

もっと詳しく知りたい方は、次の記事もご参照ください。

会社都合扱いの解雇・退職を行う場合の注意点とは

 

 


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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