労働局より「あっせん開始通知書」が送付されてきた場合の対処法は?(ショート記事)

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使用者(企業・事業者)側で労務トラブルに関するご相談を受けていると、似通ったご相談をお受けすることがあります。

このWEBサイトを訪問されている方におかれまして、ご参考までの情報共有として、以下記載します。

 

 

ご相談内容

ある日突然、労働局(※厚生労働省が管轄する行政機関)より、「あっせん開始通知書」と題する文書が届いた。

文書内容を確認したところ、先日退職した元従業員が会社よりパワハラを受けたと主張し、労働局に申立てを行った旨記載されていた。

どのように対応すればよいのか教えてほしい。

 

回答

まず、最初に指摘しておきますと、よく「労働基準監督署」と勘違いされる方がいます。

しかし、「労働基準監督署」と「労働局」は全く別の行政機関です。

 

さて、ご相談例にある「あっせん手続き開始」に関する通知ですが、要は…

・従業員が労使トラブルについて、労働局を通じて協議し解決を求めたいと申告してきた

・あっせん手続きに参加する意思があるのか回答せよ

という通知書と考えればよいかと思います。

 

このあっせん手続きについて、正確に理解してほしいのですが、会社があっせん手続きに参加するか否かは自由に判断できます。

そして、あっせん手続きに参加しないという回答を行えば、それで手続き終了であり、会社は特別な不利益を被るわけではありません(労働基準監督署との違いは、強制力の有無にあります)。

 

ところで、このように書くと、不参加と回答しておけば面倒な手続きを回避できると考える会社も多いかもしれません。

ただ、あっせん手続きが終了した場合、従業員が次にどのような手段に出てくるのかを想定する必要があります。

特に、従業員が主張している内容がどの程度真実性があるのか(=会社が何らかの責任を負う可能性があるのか)を吟味した上で、あっせん手続きへの参加の可否を判断したほうが良いと執筆者は考えます。

なぜなら、あっせん手続きは、よほどの例外がない限り1回の協議で終ること(迅速性)、裁判と比較した場合、会社側の言い分をある程度考慮した解決案を提示してくれることが多いこと(柔軟性)、紛争の最終解決を図りやすいこと(終局性)等のメリットが存在するからです。

従業員の主張内容について、ある程度会社としても認めざるを得ないという場合は、むしろあっせん手続きに参加して解決を図る方が望ましいこともあります。

この点の判断等については、是非弁護士に相談してほしいところです。

 

 


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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