SES契約を検討する上でのポイントをSES事業者の視点で解説

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SES契約とは、委託者に対し、システムの開発・運用・保守などの業務に必要な人員(エンジニア)を提供する契約のことをいいます。

この契約は当然に無効という訳ではありませんが、偽装請負リスクが常に付きまといます。

また、偽装請負以外にも様々な契約上の留意点があります。

そこで、以下の記事で、SES契約における注意事項を整理しました。

なお、次の記事は、SES事業者(受託者)視点での記載となりますが、契約上の留意点は委託者にとっても同様ですので、委託者側でも参考になるかと思います。

 

【ご相談】

当社は、クライアントからの依頼に基づき、その要望に見合ったエンジニアを選定した上で、当該エンジニアをクライアント事業所に常駐させ、必要な作業を行うサービスを提供しています。

今般、新たなクライアント候補との契約交渉を行っているのですが、先方よりSES契約書案の提示がありました。

どういった点に注意すればよいのか教えてください。

 

【回答】

まず、そもそもSES契約が無効であると考える人がいるようですが、それは誤りです。SES契約としつつも、実態が労働者派遣であるといった場合に問題視されるだけに過ぎません。

以上のように、SES契約は偽装請負の問題と隣り合わせのようなところがあり、SES契約書のリーガルチェックを行うに際しては、偽装請負を疑わせるような文言がないかを確認することは必須と言えます。

ただ、偽装請負のみ焦点を当てるだけでは不十分です。

そこで本記事では、偽装請負については簡潔に触れつつ、それ以外で注意するべき事項につき、SES契約の受託者(エンジニアを提供する側)の視点で解説を行います。

 

【解説】

SES事業者の皆様へ

SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアを提供する側にとって魅力的なビジネスモデルですが、契約内容によっては、事業リスクを大きく抱えることになります。

「偽装請負」や「知的財産権の扱い」、「中途解約のリスク」、「追加作業の報酬請求」 など、注意すべき点を見落としていませんか?

適切な契約を結び、安全にビジネスを運営するためにも、事前のリーガルチェックが欠かせません。

 

SESの利用を検討するユーザ企業の皆様へ

SES契約を締結する際、エンジニアのスキルや作業範囲の明確化はもちろん、契約形態が「準委任契約」であることを正しく理解することが重要です。

「エンジニアの指揮命令権はどちらにあるのか?」

「作業の進捗管理はどうするのか?」

こうした点を曖昧にすると、契約後にトラブルが発生するリスクが高まります。円滑な業務遂行のためにも、事前のチェックと適切な契約の締結をおすすめします。

 

SES契約を検討する上でのポイントをSES事業者の視点で解説

 

なお、記事の構成は次の通りです。

1.SES契約とは

(1)SES契約の内容

(2)SES契約(準委任契約)の一般的な注意点

2.SES契約と請負・派遣との違い

3.SES契約の受託者特有の注意したい事項

(1)偽装請負

(2)追加作業にかかる報酬請求

(3)中途解約

(4)人件費上昇

(5)損害賠償の範囲

(6)再委託させる場合と下請法・フリーランス保護法

4.弁護士に相談するメリット

5.当事務所でサポートできること

 


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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