社内不倫相手から妊娠を告げられた場合の法的対応と注意点

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ご相談

私は社長であり結婚していますが、社内に不倫関係にある女性がいます。

今般この女性より「妊娠した」と言われました。

私は今後どのように対応すればよいのでしょうか。

なお、妊娠したことを理由に退職を強要するとか、解雇するといったことは考えていません。

 

結論

子供を産んでほしくないと考えるのであれば、堕胎するよう要請することになります。ただ、法的権利ではなくあくまでもお願いとなります。強い態度に出ると強要と言われかねませんので注意が必要です。

出産した場合、相手の女性が認知を望むのであれば、認知に関する交渉となります。交渉が決裂した場合、認知を求める裁判手続きに移行することになります。

認知が認められた場合、養育費の支払い義務が発生することになります。

なお、この女性に対し、未婚であると騙して関係性を構築していた場合、慰謝料支払い義務が生じる場合もあります。

 

解説

まず押さえておくべきポイントして、自らを有利にするための法律や法的権利は存在しないという点です。すなわち、本件のような事例の場合、基本的には相手の女性の出方を伺いつつ、防戦一方とならざるを得ません。

したがって、何をするにしても、お願いベースで交渉を行うことが基本となります。

 

まず、出産するか中絶するかは、相手の女性の自己決定権の問題となり、これを阻害するような法的権利は存在しません。そして、万が一にも阻害するような事態が生じた場合(例えば、中絶するよう強要したなど)、自己決定権を侵害する不法行為として損害賠償請求を受ける可能性があることに注意を要します。

焦燥感はあるかと思いますが、あくまでも冷静に交渉(お願い)をすることを心がけてください。

なお、中絶が可能な期間は法律上決まっていますので、かなり短期決戦となることを覚悟する必要があります。

 

次に、出産した場合、母子関係は出産により当然発生しますが、父子関係は法律上当然に発生するわけではありません。このため、法律上の父子関係を構築するために認知手続きが必要となってきます。

この点、「自分の子供ではない」ではないとして、認知要請を拒絶することも可能です。ただ、相手の女性は認知することを求めて裁判手続きを利用することができます。裁判手続きとなると、家族にばれてしまう可能性が高まりますし、何より手続き対応につき時間・労力・お金がかかります。そして、裁判手続きとはいっても、実際にはDNA鑑定を行い、その結果に基づいて認知請求権の当否を判断するのが現場実務です。こういった実情を考えると、わざわざ裁判までせず、交渉中にDNA鑑定に応じ、その結果を踏まえて認知要請に応じるか否かを判断したほうがコスパ・タイパに優れていると言えるかもしれません。

ちなみに、DNA鑑定の結果、生物学上の父子関係があることは明らかではなるものの、法律上の父子関係までは求めない、すなわち認知請求権は放棄するので、その代わり養育費を含めた一定の金銭給付を求めてくる、相手の女性も存在します。

ただ、注意を要するのが、認知請求権の放棄は法律上無効とされている点です。すなわち、仮に認知請求権を放棄する旨の合意書を締結したとしても、後で相手の女性が認知請求権を行使してきた場合、拒絶しようがありません。もちろん、認知請求権を放棄する旨の合意をしている以上、後で権利行使してくる事例は少ないのですが、法的に無効な合意をするメリットがあるのかをよく考えて交渉する必要があります。

 

リスク管理・危機管理のご相談


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、200社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 

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