ご相談
2026年4月1日より離婚時の法的ルールが変更されたと聞きました。
社長である私が離婚する場合、改正によってどのような影響が生じるのか教えてください。
回答
改正のポイントは次の5点です。
①共同親権か単独親権か選択することが可能
②法定養育費制度の創設
③養育費につき、先取特権に基づく差押えが可能
④財産分与申立て可能期間が離婚後2年から5年に延長
⑤祖父母など父母以外の者による子(孫など)との交流権の創設
ここでは社長にとって特に影響が大きい、①、②、④について解説します。
解説
2026年4月1日、離婚に関する民法等の改正が施行されます。
今回の改正は、未成年の子がいる夫婦にとって重要であることはもちろん、事業を営む社長夫婦にとっては、家庭問題にとどまらず、資産管理や会社経営にも影響し得る内容を含んでいます。
とりわけ重要なのは、離婚後共同親権の導入、養育費に関する新たな制度、財産分与ルールの見直しです。
①共同親権の導入
まず、改正後は、離婚後も父母双方を親権者とする「共同親権」を選択できるようになります。もっとも、これは単に「夫婦で平等に決めればよい」という話ではありません。
社長夫婦の場合、子の居住地、学校、留学、医療、出張や海外赴任への対応など、通常の家庭以上に判断事項が複雑化しやすく、親権の在り方が事業活動にも影響する場面があります。
感情的対立がある中で見切り発車的に共同親権を選択すると、離婚後も重要事項の協議が滞り、かえって紛争が長期化するおそれがあります。
②養育費の支払い確保
次に、養育費については、支払確保の制度が強化されます。また一定の場合には、正式な取決めが整うまでの間、法定養育費を請求できる仕組みも設けられます。
もっとも、社長や会社役員の場合、役員報酬、自社株、会社負担の支出、法人と個人の資産の混在などにより、単純に「年収だけ」で適正額を把握できないことも少なくありません。
離婚時に曖昧な理解のまま合意してしまうと、後日の増額・減額争いに発展する可能性があります。
③財産分与請求の延長
財産分与請求の期間は、離婚後2年から5年へ延長されます。
これは社長夫婦にとって特に重い改正です。自宅や預貯金だけでなく、株式、役員退職慰労金、保険、会社との資金移動、名義の整理が不十分な資産など、検討対象が広がりやすいからです。
離婚時に十分な資料整理や評価を行わないまま手続きを進めると、離婚後も長期間にわたり経営と私生活の双方に不安定要素を残しかねません。
社長夫婦の離婚では、単に夫婦間の清算条件を決めれば足りるわけではありません。親権、養育費、財産分与、親子交流に加え、会社経営への影響、役員体制、株式保有、対外的信用への配慮まで見据えた設計が必要です。
だからこそ、改正法の施行後はなおさら、「離婚できるか」ではなく、「離婚後に紛争を残さない条件をどこまで詰められるか」が極めて重要になります。社長夫婦の離婚こそ、早い段階で弁護士に相談し、家庭と経営の双方を視野に入れた整理を行うべき場面といえるでしょう。
なお、経営者の離婚について、もっと詳しく知りたい方は次の記事もご参照ください。
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弁護士 湯原伸一
































